実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/01 (水) 14:00
いい舞台だった。女性に良妻賢母という役割が求められていた時代、校長の示唆もあってフートボール(サッカー)を始めた女子学生たちと先生の物語。香川県の丸亀高等女学校が舞台となっている。
役者たちはいずれも、いい演技だった。特に、フートボールをめぐって後任の校長と対立し、ボールに穴を開けて処分するよう命じられる体操の教師を演じた堺小春、冒頭から登場する女学校を顧客に持つ写真館の娘を演じた井上向日葵の熱演が光った。恐らく台本にも相当関与したと思われる瀬戸山美咲の力量が後押ししていると思われる。
特に、ラストシーンは感動的であると共に示唆的だ。今でも女性の社会進出という点ではガラスの天井があるのが現実だが、それでも当時と比較してこのようなラストシーンを設定したのは素直に客席の胸を打った。理屈ではない感動。これはやはり舞台の力だと思う。これを味わうだけでもこの舞台は見る価値がある。
振り袖姿の女子生徒たちがボールを蹴るシーンが後段などにある。ダンスなども交えてうまく演出してあったとは思うが、本音を言えばやはり、本当にボールを蹴ってほしい。台本通りにボールが転がらなくてもいい。ボールを蹴ることは彼女たちにとって、自由へのキックなのだから。