魔法のベルが聞こえたら 公演情報 劇団Radish「魔法のベルが聞こえたら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    若者らしいすがすがしさ
    東大駒場で練習公演というのは初めて観る形式。秋公演へ向けたウォーミンブアップといったところだろうか。
    この劇団を観るのも久しぶりだが、東大駒場の劇団のよいところは学年が代わっても劇団のイメージ・カラーがはっきりしており、以前に観た芝居の雰囲気と変わらない点。
    練習公演とはいえ、本作も「Radish」らしくすがすがしい精神世界の芝居だった。

    ネタバレBOX

    キョウカ(黒木許子)とハヤカワカコ(古俣めぐみ)、ユキマサ(前田知温)は仲良し3人組の高校生で、優等生のカコが2人に勉強を教えていた。
    テニス部の下級生カタセコウキ(川口達也)に片思いをしていた内気なカコだが、やっと初めて言葉を交わすことができ、キョウカとユキマサは好意的に見守っていた。
    同じころ、不思議な格好をしたモリー(遠山龍)という少年に会ったキョウカ。モリーは不思議なベルを持っていて、ベルが故障してしまったので修理に出すと言う。
    モリーはベルを鳴らして人の記憶を消すメモリーキラーという係で、ベルが故障すると修理が終わるまで、記憶が消えない。修理が完了したら、モリーとの再契約が必要だと言う。
    キョウカは記憶が消えないのでテストの成績もよくなり、好都合だと喜ぶが、ある日、カコは交通事故で死んでしまう。モリーの説明では、人は未来に向かって時の道を進んでいくが、逆走防止のため「時の壁」が設けられていて、この壁を乗り越えるには肉体の更新が必要で、乗り越えるにはかなりのエネルギー負荷がかかる。カコは時の壁が乗り越えられずに死んだのだ。記憶を消さないままにしておくと、ライフアップデータに狂いが生じて命が危うくなるのだが、このライフアップデータをつかさどるのがイブ(石川友梨)で、モリーとイブは2人1組で仕事をしているが、モリーにとってイブはとても恐ろしい存在だという。
    カコは最初から18歳でベルが壊れる運命にあったからしかたないとイブは言う。キョウカはモリーのベルの修理が終わっても、カコの思い出を消さないために再契約に同意しない。カコの死の悲しみが薄れていくユキマサのことも非難する。
    キョウカの身を案じたモリーは時の壁のところでキョウカとカコを会わせようとする。
    「自分の時の道はここで終わったから、もう前には進めないが、あなたは未来に向かって進んで」とカコは言う。2人の間には乗り越えられない壁が存在していた。カコに別れを告げるキョウカ。
    記憶は薄れても、自分の中にカコの思い出は生きていると、キョウカやユキマサ、コウキは確認する。
    学生らしくなかなか面白いストーリーだと思った。演技レベルは学芸会並みと言ってよい幼さだが、中で、マゾっぽいイブを演じた石川友梨だけは堂々とした演技で口跡もよく、長身で舞台栄えがし、目を引いた。
    秋公演までに、きょうのメンバーがどんな成長をみせてくれるかとても楽しみだ。5段階評価のアンケート用紙が配られたが、考え込みながらペンを走らせ、余白にぎっしり感想を書いてる学生が多く、東大の劇団ならではの光景で好感がもてる。

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    2010/06/28 20:25

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