実演鑑賞
満足度★★★
(Xチーム)
全く期待していなかっただけに驚く程良く出来ていた。
ウディ・アレンの『カイロの紫のバラ』という傑作がある。大の映画ファンのミア・ファローが大好きな映画を観に毎日映画館に通い詰める。すると登場人物の一人がずっと自分を見詰めているミアのことが気になってくる。到頭スクリーンを抜け出てミアに話し掛けてしまう。映画内は登場人物が欠けた為、進行出来ずパニックに。そんなてんやわんやのコメディ。今作はそれを踏襲している。
『ハイカラ探偵物語』という映画を観に行く主人公(中尾彩絵〈さえ〉さん)。誘った友人(石森美咲さん)が来ないので遅れて一人で観始める。全く不人気でしかもクリスマス・イブの為、観客は主人公一人。内容は大正の華族の洋館に怪盗黒蜥蜴からの犯行予告。警部(田中のぶと氏)、若き日の芥川龍之介(辻合直澄氏)、平井太郎(後の江戸川乱歩)〈齋藤雄大氏〉がそれを阻止する為集まる。だが・・・、重要な登場人物が突然いなくなってしまった。どうも捕まるのが嫌で映画の外に逃げ出したらしい。
ヒロインの和田みなみさんが昔女優を目指していた知り合いに似ていて感慨深い。彼女はハッピーな展開を迎えて欲しいもの。
令嬢役の南澤さくらさんは白目を剝いて女・函波窓といった怪演。
警部役の田中のぶと氏は無声映画の一人アクションで場内を大いに沸かす。
石森美咲さんはベテランの手堅さ。
芥川龍之介の婚約者役の環幸乃さんは流石に場を回す。
挟まれるダンスが可愛らしい。
劇団の代表作と謳われるだけあって、工夫が凝らしてある。
是非観に行って頂きたい。