実演鑑賞
結構な時間を中盤眠ってしまった。とっかかりを何とか見ようとしたが・・原作も梗概も(ニールサイモン作品だった事も)念頭になく劇場に駆け込んで「真っさら」で見たせいか、舞台上の事態が入って来ない。篠田三郎演じるのが死者であったとは寝落ちの後、後半で漸く悟った次第。照明が変るでもなく普通に登場し、大仰な臭い演技をやって去って行く(この大仰さが「この世のものでない」演技だったのだな、と後から回顧したような事で)。サザンシアターの、プロセミアムアーチの中でお姫様が王子様を慕って、的なお芝居を見た、という記憶の残滓なのだが、もう少し記憶をかき分けてみると、「イイ話」だったんだろう、と想像はされた。
ニール・サイモン作品は恐らく初観劇。著名な戯曲は読んで「面白い!」と今度の「ビロクシー・ブルース」を楽しみにしている(でも高いな~諦めるかも)。
公演に戻れば、後半の観劇で幾分回収したのは、四人の出演者の内古手の二人が、次の世代のために尽くす、という所で琴線を震わすコメディの構図。既に名のある女性作家ローズ(樫山文枝)が長年信頼してきたパートナー、ウォルシュ(篠田・・作家業の上でのそれなのか男女の関係なのか、また彼がローズの見る幻影なのか幽霊かは不明)の死後、物が書けなくなったという問題が、今家計をも逼迫させていて、秘書の(ローズの娘でもあるが親子の関係は封印している模様)アイリーン(桜井明美)が冒頭から頭を悩ませている。
恐らく中盤、幽霊からある若手作家の力を借りてはどうかと提案され、新たな人物の登場と相成る。アイリーンと若手作家ギャビン(神敏将)との関係に焦点がシフトする。色々あって二人は結ばれ、何はともあれ目出度いラストとなる。邸を空けて二人が門出するラスト、古手の二人が見送るが、若い二人は見向きもしない。ローズも既にあちらの人となっていた。想像力を駆使して穴を埋め、どうにか拍手が出来た。
周囲を見ると、勿論高齢層が主だが、満足気であった。
演出の名も後で確認したが、どうも足りなさを覚えてしまうのが毎度正直な感想。