実演鑑賞
満足度★★★★
楽しかった。面白かった。赤堀ワールドだった。
The Shampoohatを初めて観たのが「砂町の王」だったせいか、汗に光る上半身を晒してけだるそうに工場の喫煙所で口数少なに煙草を吸う児玉貴志、日々大介、野本光隆らのその場所を指すのだろう砂町(といっても実在の地名と知ったのも後の事)が、いつしか記憶の中で劇場のロケーションになり、下町界隈で観た、という記憶に変質していた。
劇団の常小屋がスズナリ。符合しないまま帰宅し、今更に「そうだったな」と気づいている案配。
終盤、私が観た回のゲスト黒田大輔が登場するが、その「砂町の王」で慎ましく座卓を挟んだ夫婦役で登場した記憶を最後に、その後劇団公演を3本観たが出演せず、「同じ劇団員同士」だったと気づいたのは、ゲスト演目の最後の方だった。
赤堀氏の演劇観、作品世界は一貫しており、今回の一人芝居も例に漏れずで、渋みを醸す。笑いで閉じる生芝居5本とその合間、及び冒頭に映像(続き物=水澤紳吾氏ともう一人の三名出演)が挟まる。二つの取り合わせが絶妙。パンフを見れば赤堀氏本人は「罰ゲーム以外の何物でもない」と書いてあり、確かにその通りであったが、観る方は楽しみ、最近なかった笑いが劇場に噴いていた。
黒田氏と並んだ終演の短い挨拶では、劇団The Shampoohatに触れ、「長い間応援有難うございました」「これをもって解散という事で。」と言ってまた笑いを取っていたが(正式に解散宣言はしていなかった)、何故かほろ苦さが。
(帰宅して久々に劇団HPを探すも、とうに消えており、最後の公演は2014年であった。)