三人姉妹 公演情報 アイオーン「三人姉妹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/09/27 (水) 14:00

    チェーホフが劇団のために初めて書き下ろしたという戯曲。三人姉妹なのだが実は男の兄弟も一人いて、本来は「四人きょうだい」。舞台はこの男性にもたっぷり時間を割いて物語ができていているので、事前のイメージとは少し異なる展開となった。
    時代は19世紀末からに20世紀初頭のロシア。軍の高官だった父親の一周忌に知己が集まる場面からスタートする。劇中「自分たちはお金持ち」というせりふもあるくらい、恩給暮らしだろうが上流階級だ。だが、妹のイリーナが何度も「モスクワに帰りたい」と言うのは、何の不自由もない田舎暮らしに飽き足らず、職業を持つことで「人生への意味」を付与したいという強い思いに裏打ちされている。
    当時は女性が一人でモスクワに出ることすら困難だったろう時代だ。「こんな人生意味ないわ」という捨てぜりふに共感できる。一方で、結婚して夫に尽くしていくという生き方をしている姉もいる。チェーホフは、どの姉妹(弟も)にもある胸の内の苦悩を丁寧に描いていく。
    自由劇場という音響に優れた場所で、朗々と響くせりふによどみはなかった。幕開け前から流れる効果音もいい。幕の上げ下げによる切り替えもあるが(休憩は2回)、照明をうまく使った場面転換も自然だった。
    有名な戯曲だから、上演する劇団によってかなり色合いに差があると思われる。これほどまでに「働く」ことに意味を認めあこがれの対象とする思いを、今の時代の男女はしっかり受け止めなければ、と感じた。

    0

    2023/09/27 20:51

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大