実演鑑賞
満足度★★★★★
ようやくチェーホフの4大戯曲をコンプリート。
この「三人姉妹」が一番ストーリーが豊かで現代のTV・映画のドラマに近く肩肘張らずに自然に観ていられる。
将軍であった父が亡くなり来訪者も減ったとはいえ、自前のお屋敷に住み、父の年金のお陰で働かずに暮らすことができ、使用人を雇ってパーティーを開く余裕さえある。チェーホフの登場人物はこんな人が多く自分の身をどこに置いて捉えれば良いのかとまどってしまう。まあ100年以上前の外国の話なので「へえ、そうなんだ」と傍観していればサーっと流れて行く。それにしても「モスクワに行きたい」という姉妹の気持ちは「東京に行きたい」と思っていた若き日の私とオーバーラップして懐かしい。念願かなって東京(埼玉だけど)に出て来ることができた私としては姉妹にもモスクワに行って貰いたいと祈るばかりだ。
1・2幕は姉妹のダイニングルームで展開される。その家具が気品があってきらびやかに輝いている。規模こそ小さいが「レオポルト・シュタット」を思い出してテンションが上がった。
「自由劇場」は1・2階合計500席のコンパクトな作りで舞台との距離が近く、今回5列目だったせいもあって実演の面白味を満喫することができた。観客には念のいった着物姿のご婦人もいらしたりして、ちょっと幅が広く作りの良い椅子と相まって非日常に入り込むことができた。