組曲「空想」 公演情報 空想組曲「組曲「空想」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    何度も味わいたくなる稀有な魅力
    初日を拝見しました。

    一つずつの作品が磨かれていて、
    作品の重なりが心地よく積もり、
    観終わったときに
    一遍の作品としての質感に
    深く浸される・・・。

    小粋で、奥行きがあって、ちょっとシニカルでスパイシー。

    深い輝きを秘めた短篇たちであり、
    その色が重ねあわされた連作でもあり、
    さらには時間に綴じ合わされたひとつの物語でもあり・・・

    豊かに満たされました。
    しかも、
    満ちてなお、
    貪欲にもう一度味わいたいと感じさせるような魅力が
    この作品には内包されておりました。

    ネタバレBOX

    冒頭のシーンに
    観る側を舞台に惹きつける小粋さがあって。

    そこから、短篇が
    しなやかな語り口で綴られていきます。

    それぞれの物語として切り取られた時間は
    ヴィヴィッドで、
    あるいはコミカルで、
    時にぞくっとくるほどにシリアスで、
    もしくはひりひりするようなテンションや閉塞感を持ち、
    さらには深く、カジュアルで、心地よい。

    ほほえましく甘酸っぱいエピソードに何気にときめき、
    抜けのよいウィットに心をほぐし、
    パズルが解けていく刹那に目を見張り、
    タフな感覚に息が止まり、
    ビターなテイストに取り込まれ、
    切なさとぬくもりに浸される・・・。

    作品の隠し味が
    ひとつずつ異なった色に物語を染めて・・・・。
    その作品に満たされているのに、
    魔法のように次の作品にも満たされるのです。
    よしんば、同じ場所設定であっても、
    あるいは異なった世界が差し込まれても、
    しなやかな奥行きに裏打ちされた作品の連なりは
    観る側を飽きさせることなく
    むしろ貪欲にしていく・・・。

    さらに、物語が積み重なっていくうちに
    いくつかの作品を束ねる糸が現れて、
    目にした色たちから醸し出された
    さらなる彩りを見る側に注ぎ込んでいきます。
    奥深い宝石の色が、
    組み合わされることでさらに別の印象を生みだすように、
    個々の作品がもつテイストと、その重なりの質感が
    観る側をさらなる感覚で満たしていく・・・。

    最後の作品で、いくつにも組み合わされた宝石たちが
    時間という糸で首飾りのように束ねられて・・。
    宝石たちの輝きと首飾りとしての美しさが
    一つの質感となって観る側に置かれるのです。

    その余韻を味わいながら、
    冒頭のシーンと結ばれたエピローグの小粋さに
    さらに身をゆだねて。

    同じ回を観た知り合いの方が、
    極上のフルコースを味わったようだと評されていましたが
    まさにその通り。

    奇をてらった食材ばかりを使うことなく、
    小難しい能書きがつくこともなく、
    でも、それぞれの皿の味付けには
    味わう側の手を止めさせないだけの洗練があり
    役者たちの仕事にもがっつりとうまみが込められていて・・・。

    観る側を前のめりにする皿、軽やかな皿、がっつりとした皿、
    目を覚ますような皿、遊び心に満ちた皿、深い余韻を残す皿・・・。

    エピローグの軽さが、
    エスプレッソの切れを持った苦みと重なって・・・。

    たっぷりと満たされているのに
    また食べたいと思う・・・。

    何度も味わいたいという欲求を
    がっつりと掻き立てられる
    稀有な魅力に囚われながら、
    劇場のエレベーターに足を運んだことでした。

    ☆☆☆★★★

    3

    2010/06/19 12:59

    0

    0

  • りいちろ様

    嬉しいお言葉、ありがとうございます。
    本当に、そうですね。
    こういう作品が、追加公演になることぐらい嬉しいことはありません。
    50年以上、様々な上級舞台には数々出会って来ましたが、こんなにも観る人の気持ちを幸せ感で満たし、その上、こうして、観劇後も、見知らぬ方々と、その余韻を共有できる舞台には初めて出会った気が致します。

    単なる私憤や、感情の捌け口に、この場を利用するのではなく、こうして、プラスの感情で、お互いの思いをやりとりできる、幸せをつくづく嬉しく思います。
    何だか、私個人の思いでは、ほさかさんに、コリッチユーザー感謝状を差し上げたくなってしまいます。
    こんな素晴らしい舞台作品を通して、気持ちが繋がるって、本当に素敵ですね。

    2010/06/21 13:05

    KAE様

    りいちろです。

    コメントありがとうございます。
    今回の空想組曲、本当に良かったですよね・・・。

    おっしゃるとおり、中田顕史郎さんのお芝居、
    しっかりとつぼにはまっていて・・・。
    あの赤と緑の名物料理も強烈で、
    なにかの折りには夢にまで出てきそう・・・(笑)。

    連日大盛況で追加公演が組まれたというのもうなずけます。

    貴コメントを拝見し、
    また、同じ公演をご覧になった方と終演後などにお話をして、
    よいお芝居の感想を共有させていただけるのは
    とても幸せなことだと感じます。

    貴コメントと作り手の方と、
    もし演劇の神様がいるのなら
    そちらも含めて感謝の気持ちでいっぱいです。

    改めて感想へのコメント、ありがとうございました。








    2010/06/21 07:14

    りいちろさん、待ってました!!
    勝手に、待ってたんですよ。
    りちろさんの、この舞台の御感想コメントを。
    私、いつも、りいちろさんの詩的なレビューを拝読するのが、とても楽しみなので、自分が甚く感激したこの舞台を、りいちろさんだったら、どんな素敵な表現でコメントなさるのだろうと、興味津々で、どうかりいちろさんが、この舞台を観劇して下さるようにと、勝手に切望していたのです。
    あー、期待通り!!何て、ピッタリのお言葉の選択でしょう!!
    私が、感じた思いを、見ず知らずのりいちろさんが、こんなにも的確な文章に変換して下さるなんて!!感無量でした。同じ日のご観劇だったのですね。
    あれから、数日が過ぎましたが、私は、未だに、空想組曲のこの名短編集のシーンを思い出しては、一人ニンマリしています。
    あの、ウェィターさんの、訳知り顔の悪戯っぽい笑顔は、きっと終世、目に焼きついているのではと思います。
    あのレストランの、名物料理の、あの赤と緑の食材までもが、本当に、秀逸の極みでした。何という、隠し味チョイス!と感嘆ものでした。
    私の、お気に入りの横浜のレストラン同様、ほさかシェフのこの極上料理のお味は一生忘れられないと思うのですが、その記憶の補完にこのりいちろさんの名コメントを、記憶に留めさせて頂きます。

    2010/06/19 18:22

このページのQRコードです。

拡大