土がくれたほほえみ 公演情報 劇団東俳「土がくれたほほえみ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/09/10 (日)

    あうるすぽっとにて劇団東俳『土がくれたほほえみ』を観劇。
    毎回、子役からベテラン俳優まで幅広い年齢層の役者さんが出演し、本格的且つ王道の演劇作品を制作されている印象が強い劇団東俳さん。たまたま拝見した2016年公演の『まなざし』が好印象だったこともあり、以降も定期的に拝見させていただいています。昨年の『激流ノ果テ』に続き、今回で通算5作品目の観劇となりました。
    今回は老舗芸能事務所のマネージャー、スキャンダル騒動を起こした売れっ子俳優、自然農園の辛口園長、訳ありの元カリスマシェフ、母親の愛情に飢えた小学生など、個性的なキャラが多く登場する人間再生をテーマとしたような作品。登場する人物それぞれに様々なエピソードがあり、特定の誰かだけにスポットが当たる訳でもなく、程好いバランス感で物語が進んでいく展開は見応えがありました。その中でも2幕が始まって割とすぐの芸能マネージャーと自然農園の園長による2人の会話は印象に残ったシーンの一つです。園長の「怒りで解決することは少ないけど、笑顔で解決出来ることはたくさんあるのでは」や「心が死んだら体も死んじゃう」という言葉はなかなか重みがあると感じました。
    “笑いは良薬”という言葉があるように、人間やはり笑うことは大切なのだと思いますが、かといって、自分の想いを内に秘め、偽物の自分を演じるのではなく、ありのままを吐き出し、本当の自分でいられることが大事。世の中一人一人がおおらかな心を持ち、互いを理解し合って、リスペクトし合って生きていくこと、助け合って生きていくこと、人と人の繋がりを大事にしていかねばならないことなど、当たり前であってもなかなか難しい大切なことに気付かされるような内容であったと思いました。欲を言えば、それぞれのエピソードにもう一捻りというか、あと少しだけ複雑な絡み合いがあると尚良かったかなと感じました。また、東俳さんは自社で所有されている劇場も素敵な空間だと思いますが、今回はあうるすぽっとでの公演ということもあり、よりスケールの大きな、良質な作品に仕上がっていたと感じました。ダンスシーンも迫力がありました。
    キャストでは、ゲストの藤田弓子さん、永井大さんはやはり存在感がありました。藤田さんは劇団でん組、永井さんは東京セレソンDXの作品で拝見して以来かな。相変わらずオーラがあります。マネージャー役・倉持聖菜さんは、序盤の“仕事が出来るマネージャー感”からの、人間誰もが持っているであろう“弱い部分”の見せ方というか、表情というか感情表現が上手いと感じましたし、少しハスキーな声も個性的でインパクトがありました。売れっ子俳優役の関修人さんはどんな役を演じられてもビシッとハマる印象。小学生役の村山輝星さんはテレビで見たトライアスロンのイメージが強かったですが、ダンスも演技もレベルが高く素晴らしい。三浦修さん、植野瑚子さん、三谷貫太さん、三小田芳樹さんらも印象に残りました。江畑達也さん、深沢優希さん、菊川陽子さんによるアフタートークも10分では足りないほど充実しており、最後まで楽しませていただきました。60周年おめでとうございます。

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    2023/09/10 23:10

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