実演鑑賞
満足度★★★★★
経済成長でどんどん生活が便利になっていく60年代の日本。そこで6時間ごとに2時間の水やりをしなければならないという、超手間のかかるもやし栽培を家業とする泉家。長男の恵五郎(根本泰彦)はいつも眠い。長女の十子(吉川亜紀子)は結婚を控え、新しい家電製品に目移りするばかり。次男の一彦(松沢太陽)は6年行った大学もそろそろ卒業、しぶしぶ就活に回る…。やもめの恵五郎に見合いの話が起こり…
11年ぶりの2回目の観劇。懐かしいセットがまずいい。しっかり井戸の水が出て、家の縁の下や軒もリアルに再現。もやしが育つ室の中のシーンは圧巻だ。会社社長の父に反発して家出してきたという村松(川本克彦)、近所の中華料理店の娘なのに、やもめの恵五郎が気になっていつも手伝いに来る高野九理子(小泉聡美)。初老の大人なのに、なぜか子ども帰りをしている喜助(後藤敦)。それぞれのわき役もいい。特に自分の思いを打ち明けられない高野がいじらしい。
お尻にスイッチがあって、座ると眠ってしまう(息子のカンタ=小1の作文)という恵五郎のキャラが本当におかしい。そのうえギターがうまい。ギターがしたくてほんとは最初、もやしづくりが嫌だったというのもうなずける人物だ。