実演鑑賞
満足度★★★
8/21、一番集客があるであろう窪田正孝氏が第一頚椎の剥離骨折による降板を発表。開幕まで一週間を切った状態で平原テツ氏が代役をすることに。加藤拓也氏にとって最も頼れる俳優。流石に文句なしの演技。ただ窪田正孝氏バージョンも観てみたかった。本来はどんな作品を構想していたのか。
主人公の劇作家(橋本淳氏)が5歳年上の役者の友人(平原テツ氏)と久し振りに会う。大腸癌のステージ4で、青森の実家に帰るとのこと。帰る前に何か演劇的なものをやりたくなる役者仲間達。平原テツ氏は帰省後、地元でヤンキー仲間の鈴木杏さんと再会する。劇作家は思う。「そう言えば彼は『自分の人生を舞台にしてくれ』とよく言っていたっけ」。
多分実際の友達の話なのだろう。何年か前、加藤拓也氏が三軒茶屋の居酒屋で演った芝居を観た。入場料は500円。ふざけた仲間内の下らない与太話だったが面白かった。
死んだ友達について作品を書くという行為。『ドードーが落下する』も話としては同じ系統だった。酷く突き放して冷たい目線でないと良い作品にはならない。非人間的な作業。ドキュメンタリー映画の監督が対象にもっと残酷な展開をねだるように。所詮はこんなもの、他人に供する娯楽でしかない。それを書く自分自身の醜さも冷徹に見つめて。