実演鑑賞
満足度★★★
『100万回生きたねこ』も作者の佐野洋子さんも全く知らずに観劇。役者も全く分からない。お父さん役が『ペリクリーズ』の主演・石原由宇氏だったのは判った。
主演の「ヨーコさん」役の谷川清美さんは圧倒的。桃井かおりみたいな感じで好き放題ステージに君臨する。ガチガチに構築された空間を縦横無尽に泳ぎ回る魚。参った。
もう一人の「ヨーコさん」、6歳の自分であり同じ名前の猫役の大橋繭子さん。いや凄え女優がいるなあと驚いたが、『ペリクリーズ』で一番気になったヴァンプだった。うわマジか?同一人物か?この劇団に恐れをなす。
「ヨーコさん」が憎んで憎んでどうしようもなく憎んだ母親役は清水透湖(とうこ)さん。堪らなく胸が痛む。例えそれが母親ではなかったとしても、観客一人ひとりがそれぞれの痛みの記憶を喚び起こす。
早逝した天才の兄役は岩崎正寛(まさのり)氏。「蛙を窓から飛ばせ!」「時間の尻尾を捕まえろ!」、名言多数。
中野風音(ふうね)さん演ずる岸田今日子がドッカンドッカン受けた。
音楽の西井夕紀子さん作曲の名曲揃い。歌と踊りは最高。ジョリー!
作品の完成度が物凄い。西原理恵子✕80年代小劇場。作家や『100万回生きたねこ』を知っていればもっと楽しめた筈。やはり帰りに絵本を買ってしまった。
母親との関係にトラウマ(のようなもの)を抱えている女性は絶対観た方が良い。この圧倒的な演劇空間は体験して全く損はない。
是非観に行って頂きたい。