実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/08/30 (水) 14:00
「100万回生きたねこ」で知られる作家・佐野洋子の物語。この絵本はよく知っているが、作者については知識がなく、このような波乱の人生だったとは。演劇集団円のこどもステージは幾度か見たが、このステージの作者も務めていたと、今回のパンフレットで知った。
中国東北部で生まれて内地へ引き上げた。父や兄弟を早くに亡くして苦労してきた半生だが、そんな波乱も笑い飛ばしてしまうような豪傑だったようだ。冒頭、愛煙家の佐野がソファで紫煙をくゆらせながら寝転んでテレビのリモコンを操り、「地球と平行に生きてきた」と叫ぶ場面が印象的だ。編集者たちに囲まれる場面も出てくるが、愛されキャラだったことも分かる。
子ども時代のエピソードもふんだんに盛り込まれているが、子どもらしい場面を大人だけで演じていても違和感がない。大小二人の「ヨーコ」を登場させて会話劇に仕上げた工夫もいい。生演奏の歌あり踊りあり影絵あり。基本的には明るいステージで貫かれている。
テンポよく、完成度が高い舞台だった。