引き結び 公演情報 ViStar PRODUCE「引き結び」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    違う雰囲気の2つの芝居を観ているような。前半の面白可笑しく 弾けた娯楽劇、後半の生きるを切々に訴えた心情劇、その動的であり静的という二面構成で紡ぐ。サブタイトル~紬ぎ結ぶは約束の糸~、その約束について ニーチェの「人間は行動を約束することはできるが、感情は約束できない」の言葉を引用して物語は始まる。

    本作は、昨年上演予定であったが、本番直前で中止になっている。カーテンコールで主宰の星宏美さんが感極まって涙が。劇中で 雨が降る比喩として<悲し涙>と<嬉し涙>と言っていたが、まさに星さんの昨年と今年の心境に重なるように思える。そして手書きの挨拶文に「皆様に作品をお届けし続けることを 約束 します!!!」と力強い表明、一観客として応援したい。

    この作品は、前作「引き結び~紬ぎ結ぶは命の糸~」の1~2年前という設定のよう。前作の主人公 高松一輝(前作では大学生、本作では高校生)の友人 南波圭介とその妹 藤田彩芽が主人公。舞台は北海道、そしてレンタルビデオ店だけに映画に準えた雰囲気の人々が…。全ての人物が善人、そして優しく温かく紡ぐが、先にも記したが前半の笑いから後半の泣き、その感情の揺さぶりが半端なく凄い。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし)【紬チーム】 

    ネタバレBOX

    舞台美術…冒頭は白シーツで隠されているが、物語が始まるとレンタルビデオ店が出現する。左右非対称だが、両側に階段を設え 上部に別場所を作る。夏の風物らしく簾、麦わら帽子、夜店で売っている お面が飾られている。中央に🔞暖簾、その両側にレンタル品棚が立つ。
    当日パンフには、前作との関わりがあるため 役名とキャスト名が記された人物相関図があり丁寧な紹介をしている。

    物語の前半は、仲の良い兄妹とその周りにいる人々の日常を面白可笑しく描く。コロナの関係で上演順が逆になっており、高校の友人 高松一輝は前作「引き結び~紬ぎ結ぶは命の糸~」では大学進学後として語られる。そして前作で謎だった雪江の正体は既に知れているので、本作ではあっさりと描く。

    さて、レンタルビデオ店に出入りするのは、ヤクザの姉さん 我衆院志摩子(鬼龍院花子 の捩りか)と子分、興味本位の常連小学生、そして「男はつらいよシリーズ」を観たいといった映画愛(癖)の強い人々である。この前半で笑いを誘い、後半でサブタイトルになっている<命>=<約束>を描き、感情を揺さぶる。

    後半は妹の体に異変が…義理の母に急性骨髄性白血病と診断され、兄が何とか助けたいと奔走する。その様子に周りの人々が協力しようとする善意が涙を誘う。そして自分の骨髄の移植を…はたして妹を助けることが出来るのか。この「引き結び」公演の定番とも言える展開は、分かっていても毎回泣かされる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/08/27 16:31

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