イエスタデイランド 公演情報 青春事情「イエスタデイランド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    時代に取り残されて今にも潰れそうな遊園地<ドリームワールド>、そこで働く人々の心温まる奮闘記を描く。ワクワクするような非日常が過ごせる場所であるが、そこで働く従業員は日々 集客するために頭を悩ませる。特に園長は夢<ドリーム>を見るどころか、数字という現実を突きつけられる。物語の魅力は、そこで働く人々の面白可笑しい姿、しかし 心に秘めた熱い思いをしっかり伝えるところ。どんなに閑散としていても防災訓練は怠らない、そのシーンを冒頭とラストに描くことによって、さり気なく従業員の意識の変化を観せる。

    舞台美術は簡素な作りであるが、遊園地のアトラクションや祭り(提灯)を思わせる光景。それでも奥行きを感じさせる。そして不思議とファンタジーでありノスタルジーな雰囲気が漂う。そんな背景の中で テンポ良い展開、そして笑える会話、時に含蓄ある言葉で感情を揺さぶる。今後 この遊園地がどうなるのか気になるな~。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は 後景に観覧車、上部に提灯の形をした張りぼて という簡素なもの。全体で園内の広さを表すスペースとし、動き回る姿によってテンポのよさを出す巧さ。
    今は昔、小さな遊園地はデパートの屋上にもあり それなりに人気があり需要もあったと思う。物語は、客足が遠のいた遊園地<ドリームワールド>、そこで働く人々の熱い思いと厳しい現実の狭間で苦悩する姿を通して<時代=流行り廃り=需要>とは を考えさせる。

    アイドルを 招請してのイベントを企画したが、事情によって無名の演歌歌手がやってくる。客がいない中で熱唱する、その姿に園長は疑問を呈する。歌手曰く、柱の陰に一人だけ聞いている客がいた。客数の多い少ないではなく、一人一人のために歌っている。音源もカセットテープという時代遅れのモノを用意する。演歌も聞く人がいなくなれば廃れるのか、今の若者は演歌など聞かないと辛らつなコメント。自分(園長)も年を取れば演歌を聞くようになるのか、といった自嘲。このシーンが遊園地の人気<需要>に重なる。

    従業員と 時どき来園する客の思いが、経営の厳しい遊園地の対比として描かれる。幼い時に来た楽しい思い出を大事にする従業員、態度が悪くどこも採用してくれなかった女子バイト、人手不足でメンテナンスも含め多くの業務を担うベテラン、マスコット(着ぐるみ)のラビット、そして社会人経験のない主婦が…。一癖も二癖もあるような人々が一人の客のためにイベントを催そうとする。年を取り 守りに入ったら、夢が見られなくなる。

    不愛想な女子バイト(先輩)と笑顔で対応する主婦(後輩)の生き方、考え方の違いも面白い。学歴に劣等感があり、働き先が見つからなかった女子バイトはバカにされないよう虚勢を張る。一方 主婦は年下後輩に厳しく当たられても笑顔で応じる。笑顔の下には悔しい思いも、そんな2人が心を通わせていく。
    ラスト、久しぶりに盆踊り大会を開催することになり、演歌歌手を再び招請するという大団円へ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/08/24 18:15

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