燦々 公演情報 U-33project「燦々」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    テーマは同じような、若い女性の<暗澹>たる気持、それでも<燦々>と生きようとする姿を描いた3短編。最近の公演は若い女優陣で紡いでおり、本作も例外ではないが 内容は性別に関係なく、人が抱える葛藤であり苦悩である。しかし 重苦しくせず、どちらかと言えば 打開しようと奮闘する様子を明るく描く。表層の面白可笑しさ、その奥に隠れた心の傷が痛いようだ。

    短編のタイトルは 上演順(キャスト)に「謝ったら死ぬ病」(6名)、「ワンダフルな人生」(4名)、「意味不明」(2名)で 何となく群像から二人芝居へ。この構成は良かったが、作品の出来に差があり 全体としてみたとき 心に響かないのが惜しい。

    舞台は斜めに設え 二段菱形状のよう。それに対し 客席は2方向に配置しているが 観やすさは変わらないだろう。印象に残ったのは、最近の(U-33project)公演に比べ<心情と情景>の違い、それを照明の諧調によって表現しており巧い。
    (上演時間1時間35分) 

    ネタバレBOX

    「謝ったら死ぬ病」
    すぐに謝ってしまう少女、診察した結果「謝フィラキシーショック症」らしい。このまま謝り続けると死んでしまう。そして「怒」「泣」といったフィラキシーショック症候群に悩む少女たちと出会い、悩みの共有と打開策を練る。まずは食生活の改善を試みるが失敗。心の問題は自分自身に向き合うこと。謝る・怒る・泣く といった感情を過度に意識しない平静さが大切。自信の無さ、対人恐怖といったアリがちな心の悩みを明るく描いた短編。それまでの物語を ラジオの人生相談に語っているかのような。

    「ワンダフルな人生」
    <隣の芝は青い>または<王子と乞食(差別用語か?)>といった、他人の暮らしを羨むような。劇中 「私より辛い人生の人はいない!断言出来る!」とあるが、その辛さが伝わらないため共感が得られない。人の身なりや姿形に惑わされず その本質を見ることや、周りに流されない意思をもつことの大切さ、といった寓話を思わせる。物語では橋本環奈の暮らしに憧れ、神様がその願いを叶えてくれるが…。その暮らし 体験してみれば、思った以上にハードで過密スケジュールに悲鳴を上げる。そして予定調和の結末へ。

    「意味不明」
    「エンターテイメント」をキーワードにした心象劇のよう。私とあなた という二人称でありながら自分への自問自答のような気もする。人々を楽しませるだけで、自分は楽しまないのか。人の心を魅了して離さないためには 自分自身が楽しんで、その気持を伝えることが必要なのでは…そんな2人の遣り取りというか(1人)心の葛藤。人の心にある表裏をエンタメの原義に絡めたドラマのよう。この物語では何を伝えようとしているのか?作者(結城ケン三氏)=登場人物 わたし のエンタメに対する思いを語っているのであろうか?まさに<意味不明>のような。

    若い女性の葛藤や憧憬のような心の様(サマ)を淡く揺れるような照明で表す。全体としては 淡色照明で明るくすることで、重苦しい雰囲気にしない。またシーンによっては 朱紙(セロハン)吹雪+照明効果で気持ちを吐き出させるような。この演出はU-33projectの特徴のようだ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/08/17 18:23

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