実演鑑賞
満足度★★★★★
映画化もされた毛利恒之の小説の朗読劇としての舞台化
もう20年も毎年終戦記念日にあわせて上演している
出撃を前に小学校にグランドピアノを弾きに行った特攻隊員ふたり
ソナタ「月光」を弾いた音楽学校生は海の藻屑となり、その譜めくりをして海ゆかばを弾いた師範学校生はエンジン不調で引き返したのだが、その後は・・・
死ぬも地獄、生きるも地獄とは言うけれど、待っていたものはあまりに過酷
しかし、ついに口を開いてその間の事情を語り始める
使者に口なし
ならば生き残った者が語るしかない
セリフでも出てきたように、戦争責任をあいまいにしたまま復興した日本には全体主義、軍国主義の根が残っていて、いつ頭をもたげるかもしれない
それを防ぐには戦争の悲惨さについて語り続け、世代を継いでいくしかない
朗読劇と言ってもかなりの「演技」があり、途中まで特に岸並さんのそれは過剰かなと思っていたのだが、徐々にその効果を認めざるを得なくなった
いずれにしてもいかにも演劇人の朗読劇だった
仲道さんの弾く最後の月光を聴きながら、そうだ知覧に行かなくてはと強く思った
我々は戦争を直接経験したわけではないが、子どもの頃からそうした人たちの話を聴いて育ち、いわゆる傷痍軍人を目にする機会もあった世代である
語り伝えねばならない