家族耐久 〜久保家〜 公演情報 劇団HallBrothers「家族耐久 〜久保家〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    興行の体を成さず
    ぴったり1時間程度の中編。そんなコンパクトサイズにもかかわらず、どうしようもなく薄っぺらい内容だった。

    ネタバレBOX

    ここに登場する人物たちは「疑似家族」での生活に何を求めていたのか。フライヤー/パンフレットのあらすじでは説明がついているのであろうその部分をほぼ完全に省略し、予備知識ありきの状態から幕を開くことがまず作/演出家の怠慢であると感じる。
    集団内において個々の目的には大なり小なり違いがあるはずだろう。それとも、全員が寸分の狂いもなく、まったく同じ目的で集まったとでもいうのだろうか。そんなに都合よく物事は始まりはしない。ここがウヤムヤなままだから、誰に感情移入して観て行けばいいのかが分からない。
    また、久保家そのものの歯車がかみ合ってすらいないうちに、「歯車が狂い始め」るきっかけとなる闖入者=亜由子が登場する、という展開は性急にもほどがある。最低でも1、2ヶ月は疑似家族を家族として成立させる、または、その可能性を見せる程度の期間を描いておくべきだ。それをしなかった結果、なんとな〜く最初から全員がよそよそしい空気になり、これじゃうまくいくはずもないよなという予感を裏切ることもなく、なんとな〜く疑似家族たちの距離は離れて行く。それを縮める努力は誰も見せようとせず、ただの気休めだったり身勝手だったりする言葉が空しく飛び交うだけだ。そんな調子だから、この物語が「家族」の本質に迫ることはない。
    実は天涯孤独ではなかったという未成年たちの話についても、世の中にはゴマンとありすぎるせいでもはや普遍的なショーケースだ。わざわざ大げさに舞台で描いて見せるほどの事ではない。
    ただ「家族ごっこしてみたけど所詮は他人だから無理でした」という事実を、だらだらと1時間かけて、付箋紙ゲームや、ポテトサラダのネタの繰り返しやら、余計な修飾を見せつけられるだけ。

    そんな物語でも、役者の技量次第では各人物のバックボーンを匂わせ、多少は溜飲を下らせる事もできたのかもしれない。が、その点でもこの舞台は最低ラインにすら立てていない。皆自分のセリフを追うのに必死。自分の動線を確認するのに必死。相手役との空気を合わせる事は二の次である。
    疑似家族である前に、疑似演技止まり。

    この座組は本気で「家族」というものを掘り下げるつもりはあったのだろうか。「疑似家族」という題材を選んだ時点で、『問題提起』しましたよ、ハイ終わり。この舞台からはそんなふうにしか受け取ることができない。
    ・・以上の作品への不満に加え、この興行自体に対しての不満もある。それは野口家への感想で改めて述べさせてもらう。

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    2010/06/09 01:38

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