ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演) 公演情報 劇団チョコレートケーキ「ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/08/05 (土)

    まつもと市民芸術館にて劇団チョコレートケーキ『ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-』を観劇。
    2017年に拝見した『60'sエレジー』の印象が良く、他の作品も観てみたいと思っていた劇団チョコレートケーキさんですが、その後なかなか観劇の機会に恵まれず、今回が6年ぶり2回目の観劇となりました。
    前回は1960年代、今回は1990年代を舞台とした、やはりどこかノスタルジックな世界観を味わえる作品。脚本家の古川健さんの挨拶文冒頭に「この物語はあくまでもフィクション」「現実に存在する何かを連想することもあるかもしれませんが、全て創造の産物です」と繰り返し忠告?されているように、全てがフィクションであることには間違いないのですが、特撮作品の撮影現場という好奇心を掻き立てられる場所で展開される様々なシーン、会話の数々を見ていると、まるで実話に基づいたメイキングではないかと感じてしまうほど生々しく、すーっと物語の中に入り込めるような感覚がありました。思わずクスッと笑ってしまうコミカルに描いたシーンもあれば、「差別」をメインテーマとした作品だけあり、メッセージ性の強いシリアスなシーンもあったりと、濃い2時間10分でした。
    伝えたいメッセージがあり、それを題材にした物語を描きたい制作者サイドと、視聴者からの論争を懸念し、本を書き直すようにと圧力をかけるテレビ局サイドのやり取り。果たしてどのように決着するのだろうと、興味深く拝見させていただきました。結果として制作サイドの強行策という方向になり、それなりのペナルティも受ける展開となりましたが、個人的にはこの展開で良かったと感じましたし、試練を乗り越え、また新たなストーリーを築こうと奮闘している様子を描いたエンディングも比較的すっきりするものでした。「差別」はいつの時代も存在し、どの時代であっても、誰もが差別する側にもなり、差別される側にもなりうる。身近な問題でありながら、あまり深く考える機会もなかったテーマでもあるため、今回の観劇は良い機会になったかもしれません。特撮モノが始まるようなBGM、作品の中を映し出したような照明、放送を見ている脚本家の顔に映るテレビ照明など、細かな仕掛けも見応えがありました。
    監督役の岡本篤さん。久しぶりに拝見しましたが、若干訛りが入った味のあるお芝居はやはり良いなぁと感じました。浅井伸治さん演じる特撮ヒーロー俳優役も熱く、カーテンコールでの地元凱旋トークも面白かったです。足立英さんの爽やかで表情豊かな新人俳優役も存在感がありましたし、脚本家役の伊藤白馬さんの自然体な演技も印象的でした。東京公演に伺えず、松本公演での観劇となりましたが、気になっていた作品でしたので観ることが出来て良かったです。

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    2023/08/05 22:45

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