実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/03/04 (土) 13:30
いや本当に面白かった。たくさんの笑いをテンポよく見せる2人芝居の呼吸が気持ちいい。たくさん笑ったあとで、温和そうな椿の真意の吐露と翌日の向坂の言葉の切実さが胸に響いた。
観終わって、扉座の『最後の伝令』を思い出した。戦時下でのレビュー作家の物語というだけでなく、その作家のしなやかな強さが似ていたのかもしれない。ストーリーの切り口もキャラクターも異なっているけれど、主人公に託した書き手の矜持と意志はどちらも作品からもしっかり伝わった。
帰りの電車の中で三谷さんのインタビューを読み、『笑の大学』の主人公 椿一に菊谷栄さんが投影されていたことを知る。なるほど扉座の作品を連想するはずである。こちらはそのまま菊谷栄氏が主人公なのだ。
戦争に奪われる大切なもの。困難なときにも人々が物語や音楽や笑いを求めること。三谷さんも横内さんも、菊谷栄氏の生涯にご自身の仕事に欠かせない何かを見るのだろうか。