実演鑑賞
満足度★★★★★
映画や日本語キャストでは前にみたが、ブロードウェイの引っ越し公演は初めて見た。前半はもちろん名曲ぞろいなのだが、その分、既視感も大きい。二派の喧嘩で二人が死んでしまう。そのあとの後半が、今回は良かった。I feel pretty のマリアの幸福感が切ない。
遠い幸福にあこがれるsomewhereは、リアルなセットがすべてなくなって、どことも知れない緑の光の中で、シンプルな白い衣装の若者たちが手に手を取って歌う、美しい場面だった。
そして、マリアと兄の恋人アニタが歌いながら、アニタがマリアの恋の非難から応援するように変わっていく感情の変化の表現が見事。難しいところだが、すんなり見られた。
ジェット団たちがうたう「クラプキ警部こんにちは」は「非行は社会の病気」と歌って、社会風刺もこめられている。ここにも初めて気づいた。
前半の名曲の一つ「アメリカ」も、一見アメリカ讃歌のようでそうではない。実は金がない移民には碌な仕事も、選択肢もないことを痛切に皮肉っていて、奥が深い。