ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演) 公演情報 劇団チョコレートケーキ「ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    子供向け番組を超えた深いテーマも盛り込んだウルトラマンシリーズへのオマージュであり、在日・同和・関東大震災の朝鮮人虐殺・同性愛者差別まで、差別問題に果敢に取り組んだ挑戦作である。小劇場としては間口の広いシアタートラムの舞台を、上手から順に、企画会議室、撮影スタジオ、書斎と使い分ける。

    ユーバーマンシリーズの「老人と少年」(帰ってきたウルトラマンの「怪獣使いと少年」がモデル)を下敷きに、脚本家は差別をテーマに、善意の宇宙人が人々から迫害を受ける「空から来た男」を書く。それだけなら「社会的深みのあるエンタメ」に終わるが、当事者でもないのに差別をネタにする欺瞞性にも十分自覚的なところが一味違う。

    場面転換や物語進行にもたつきを感じるところも少々あったが、後半、テーマと趣向がぐんぐんかみ合っていく。作り手たちの舞台裏と、カメラの前で(あるいはけいこで)演じるドラマがうまくかみ合って、差別の愚かさと、それを超えていく希望の片りんを見せてくれた。

    ネタバレBOX

    「差別」という論争的問題を扱うことに、テレビ局から横やりがはいるが、監督は自分の進退を条件に、脚本通り撮影する。「大人になれ」「局が言うなら仕方がない」という常識的な対応から、議論の末、骨を見せる強行突破路線に変わるくだりが見どころ。朝鮮人虐殺を思わせる、川原の襲撃シーン。そして最後の死んだ宇宙人に、優しかったパン屋の娘の幻が寄り添い、満天に星が輝くラスト(これは甘すぎるとして、監督が却下したので、脚本家の脳内映像)まで、見せ場がいくつもある舞台だった。

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    2023/07/01 00:36

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