舞踊詩劇「田園に死す」・幻夢活劇「チャイナ・ドール 上海異人娼館」 公演情報 吉野翼企画「舞踊詩劇「田園に死す」・幻夢活劇「チャイナ・ドール 上海異人娼館」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    滅茶苦茶面白かった。前から一度はこの劇団を観ようと思っていた。勝手な先入観として閉鎖的な内輪受けのつまらなそうなイメージ。だがそれは全くの偏見、もっと早くに観るべきだった。疾走感、リズム感、サービス精神が段違い。思い入れたっぷりにたらたら演るのは寺山修司っぽくない。訳も分からぬまま、捲し立てるひとときの騒乱。一瞬の積み重ねだけがこの世の全て。やはり演出(音楽性)のセンスなんだろう。寺山修司の書いた詩をノイズで掻き鳴らせ。
    構成・脚色・演出の吉野翼(たすく)氏は会場の絵空箱の店主でもある。好き放題、会場も使って楽しませてくれる。正しい寺山修司の面白さの伝え方。筋肉少女帯、石井輝男、澁澤龍彦・・・。サブカル連想ゲームの脇にはいつも寺山修司が突っ立っていた。(『田園に死す』はジョージ秋山の『告白』が元ネタなのでは?)

    ラストのまさにクライマックスで地震、凄いタイミング。虚構と現実の壁が崩壊するのかと思った。
    全員(ほぼ)すっぴんで現実サイドから虚構サイドを眺めるラストの演出が効果的。女優のすっぴんはどんな化粧よりも美しい。
    ギターのなすひろし氏とキーボードの秋桜子(あさこ)さんのユニット『みづうみ』が生演奏。LIVEに行きたい位良かった。

    開場時から、からくり人形のように寺山スローモーションを奏でる5人の女優。芹澤あいさん、井口香さん、内海詩野さん、福田晴香さん、村田詩織さん。

    ①幻夢活劇「チャイナ・ドール 上海異人娼館」
    原作はポーリーヌ・レアージュ(ドミニク・オーリーではないらしい)の『ロワッシイへの帰還』。1981年、寺山修司の監督した映画『上海異人娼館 チャイナ・ドール』を岸田理生がのぐち和美さんの為に1990年に戯曲化したものだそうだ。

    ヒロインの小寺絢(こてらあや)さんが娼館に自ら入る。自分の純愛を無数の見知らぬ男に抱かれることで証明しようと。そこで彼女が目撃し体験したものとは!?

    ②舞踊詩劇「田園に死す」
    寺山修司が自身の少年時代を舞台化。母親の呪縛に嫌気が差し、隣家の若妻と東京へ駆け落ちする約束。だがそんなものは嘘っぱちでしかない。何一つ上手く行かない現実、惨めな自身を背負ってよろよろと歩くのみ。

    寺門祐介氏(現在の寺山修司)
    多賀名啓太氏(少年時代の寺山修司)
    キンカナさん(富田靖子の「さびしんぼう」風味の空気女)
    中島猛氏(ブロッケンJr風味の逆関節男)
    篠原志奈さん(母親)
    制作&場内誘導の神崎ゆいさんも出演シーンあり!

    こういう作劇を全面的に支持。面白かった。

    ネタバレBOX

    ②恐山のイタコの舞踏シーンが最高。亡者達が変顔をしながら刻むド迫力の舞踏。

    ステージ背面のシャッターが上がり、街角からガラスのドア越しに舞台を覗き見る出演者達。現実世界からするとこれは異質なお芝居でしかない。演っている役者達もこんな虚構にいつまでも付き合っちゃいられない。「ビール持ってきて!」

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    2023/06/17 19:11

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