この夜は終わらぬ。 公演情報 劇団俳優座「この夜は終わらぬ。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    開演前、連れが「あのエレベーター本物?」と言っていた。なわけないだろ!と思ったが、そう錯覚するほどリアルな美術。病院の待合室での一夜の出来事だが、問題抱えたちょっと痛い人たちが、次々とくるわくるわ。夜間中学の外国人生徒(山田貢央、椎名慧都、齋藤隆介、佐藤礼菜)、その教師(千賀攻嗣=唯一の常識人だった)をはじめ、元夫の選挙結果が気になる入院患者(佐藤あかり)、年下の女性が偉そうな警察官コンビ(釜木美緒、渡辺聡)、認知症の女性(松本潤子)…はてはSMクラブの女王様(釜木美緒=二役、気づかなかった)と奴隷(渡辺聡=二役、同じく)、外国人差別丸出しの暴行相手の代理人の弁護士(滝佑里)などなど。(千賀さん以外は、俳優座にこんな役者いたかな?という感じで新鮮だった)

    これだけ盛りだくさんで、テンションずっと高くて、1時間55分でおさめていたのは驚き。しかも外国人差別を助長するようなアプリを入管庁が配っている事態まで見せつけられた。日本はどうなっているんだよという気になる。作演出の伊藤毅は「多文化共生」というテーマを劇団からもらったそうだが、「多分に混沌」という感じだった。とにかく、テンション高く、苦笑と活気にとんだ芝居だった。

    ネタバレBOX

    いくら日本に疎い外国人でも、手術中の手術室に何度も飛び込むとか、ありえないだろう。「ネパール人の血は日本人に輸血できるの?」という生徒を、教師が厳しく叱責するのも、優しい思いやりある教師の設定から言ってチグハグ。女性弁護士も嫌味がストレートすぎて、現実離れしている。弁護士バッヂがないのもいただけない。そのほか、そのほか。

    場面の都合で、夜間中学生たちみんなが長い間トイレに行っているときもあった。
    このように突っ込みどころや無理筋満載なのだが、舞台の活気と日本社会のゆがみを提示する心意気とパワーは感心した。

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    2023/06/14 00:43

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