実演鑑賞
満足度★★★
『A・P・B-Tokyo』の絶対的ヒロイン、横木安未紗さんが好きだった。寺山修司といえば彼女の印象。今は安未紗名義で活動中。またキャバ嬢か、と思えば今回はまさかの弁護士役。
前作の『朝ぼらけ』のイメージが、善人の織り成す優しさの甘ったるいおとぎ話。ファンタジーとしては有りなのだが、現実から目を背けた作風に拒否感。どうしようもない現実の痛みに打ちのめされた時に握り締めるような強さがない。「みんな良い人だったら良い世界になるのにね」。(自分も含めて)そうじゃないから皆苦しんでいるんだろう。リアルな苦しみを凌駕する強さが欲しい。
だが今作には強度があった。テーマは『性同一性障害』。いろいろと不満はあるが、言わんとしていることはしっかりしている。
元フェアリーズの伊藤萌々香さんが主演。初々しい清純派キャラで応援するファンも多そう。
FtM(フィメール・トゥ・メール)=〈肉体は女性だが自己認識は男性〉を演ずる三澤康平氏がMVP。凄く納得させる役作り。清潔感が圧倒的。
不妊治療に励む森川梢さんは見覚えがあるのにそれが何だか思い出せなかった。
化粧品で成功した女社長役、徳岡明(あかり)さんの台詞が芯を食う。それぞれの美しさに手を伸ばすこと。高い鼻梁。
ガサツな今井裕也氏はどこにでもいそうな存在感。