背馳【公演終了しました!ご来場誠にありがとうございました!】 公演情報 ヲカシマシン「背馳【公演終了しました!ご来場誠にありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    人間の一生をハイライトで。
    時々すれ違う複数人の一生を、リアルな事象と仮想現実のハイライトによって時空間移動を繰り返しながらレイヤー状に描くこの作品は、重なり合ったすれ違いを時々共鳴しているように思わせてくれる、嘘のつき方がとにかく秀逸。そして時空を超えても尚、デス(コミュニケート)っている人間の普遍的なオカシさを根底に踊らせながらも、しかしまずはどうしたって観客たちを混乱させてやるのだぞ、という特殊な意気込みで攻めてくるため、開演直後から超難解ウルトラC級の時系列シャッフルの嵐がアナタの脳天を直撃します。
    頭のねじは、何本か吹っ飛ぶかもしれません。それにエンゲキの概念だって180度変わってしまうかも。
    きっと、観るひとがこれまでどういう気持ちで生きてきたか。人生において何を重きとしているか。あるいは平凡と退屈と、不滅についてどう考えているか。によって極端に評価の分かれる作品になるかもしれない。
    ちなみに私は、まんまと混乱に陥って頭のねじがぜんぶ吹っ飛んじゃった側。
    時々、どばどばと垂れ流されるどうしようもない時間の帯にむせ返るような沈黙を密かに感じ。その緩急が何ともドラマティックで感動すらしたのだけれど。

    ネタバレBOX

    楕円形状に配置された観客席の後方にはイントレ(鉄パイプ)がぐるりと組まれており、客入れ時からイントレの一部に黒い服を着た男が抽象的なポーズをとってひっそりと誰かの影の存在のように静かに佇んでいる。

    どうやらこの黒い服を着た男が、物語の鍵をにぎっているらしい。
    彼は神だとおもえば神にもなれる存在らしい。
    そんな風に浮世離れした男から物語の登場人物の紹介と、
    この物語の時間や混乱することに関するルール説明を受け、スタートする。
    なんだか一度間違えたら死んじゃいそうなゲームみたいだ。

    物語は非常に多岐に及ぶ。乱雑であるといっても過言ではない。
    時空間を自由に行き来する物語の点、モノローグする演者の言葉をなぞり
    観客がそれぞれ想像上で造形し補完していくスタイル。

    登場人物は、作品タイトルにもなっている、どちらかといえば背徳的な二股男・ハイチと、ハイチが二股をかけている末期ガン患者・ハイジ、視覚障害者・アイリの3人に、
    ハイジの担当医・タミチ&タミチの奥さん。
    この5人の視点が混ざり合い、循環しながら描かれる。
    途中で話しが変化してくることも多々あるが、
    それは嘘をついているのではなく、伝言ゲームの過程において
    今言ったことが”たまたま”伝わらなかった偶然、という感覚に近い。

    それでも彼、彼女らの言うことをすべて信じていると時々、
    わからなくなることがある。
    それは、例えば誰かに「ずっと好きだよ。」と言われたとして、
    それを信じていいのかどうかわからない気持ちに似ている。

    人と人とが完全に”すれ違う”時。
    時折軋むような音が聞こえてくる瞬間があった。
    その音を聞くためにすれ違うのかな、と思うと無性にオモシロオカシくなるのでした。

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    2010/05/20 23:56

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  • Hell-seeさま、この度はご観劇頂き誠にありがとうございました。
    詳細で温かな劇評を頂き、出演者・スタッフ・関係者一同、とても励みになります。
    皆様のご期待に添えるよう、またご期待以上のものを提供できるよう、
    よりいっそう気を引き締めて、邁進してまいります。
    今後ともヲカシマシンをよろしく申し上げます。

    2010/05/21 23:08

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