「キムンウタリOKINAWA1945」「OKINAWA1972」【4月6日(木)19時の回の公演中止】 公演情報 流山児★事務所「「キムンウタリOKINAWA1945」「OKINAWA1972」【4月6日(木)19時の回の公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「OKINAWA1972」

    素晴らしい脚本に唸った。
    まさかの実録ヤクザもの。中島貞夫の『沖縄やくざ戦争』と松尾昭典の『沖縄10年戦争』を観ておいた方が楽しめる。笠原和夫の危な過ぎて映画化されなかった『沖縄進撃作戦』という脚本も御薦め。「これを製作したら俺が殺される」と東映の岡田茂社長がストップを掛けたガチ実録。この辺りの映画は、抗争を煽るとして当時沖縄では公開出来なかった。

    伝説の空手家兇暴ヤクザ、新城喜史(よしふみ)、通称“ミンタミー”(目ん玉)。映画では千葉ちゃんが大友勝利まんまで演じた。とにかくヤマトンチュー(本土の人間)が大嫌い。「タックルせえ!タックルせえ!(叩き殺せ)」。
    今作では甲津拓平氏が演ずる。

    同じく伝説の空手家ヤクザ、又吉世喜(せいき)、通称“スター”(仇名のシターが訛ったものとされる)。未だに尊敬を集める男の中の男、リンチを受け生き埋めにされても自力で這い出して生き延びるなどのエピソードが多数、“不死身の男”と呼ばれた。Vシネでは小沢仁志が演っていた。
    杉木隆幸氏が演ずる。

    内部抗争の末、本土の山口組と手を組まざるを得なくなる上原勇吉。上原組は50〜60人、対する旭琉会は800人。勝負にならない戦いだが、延々と地獄の抗争を繰り広げた。映画では松方弘樹が踏ん張る。
    演ずるは龍昇氏。

    主人公的な立ち位置にいる語り部は日島稔。『海燕ジョーの奇跡』という小説、映画にもなった。演ずる五島三四郎氏は石森太二と町田町蔵をMIXしたような魅力。喋り口が朴訥で好感を持つ。上原組のヒットマンとして名を残した。

    亀頭をペンチで捻り上げ切断されると云う、未だに誰の心にも残るトラウマリンチを受けた日島稔の弟分。演ずるは工藤孝生氏。やけに明るく能天気でこの地獄をエンジョイしてみせる。

    この修羅地獄を生き延びてみせたのは富永清。演ずるは浅倉洋介氏。金城正雄の要素も混ぜているのかも。

    エロい巨乳がいるな、と思ったら福井夏さん。流石に場をさらっていく。

    佐藤栄作(塩野谷正幸氏)と若泉敬(里見和彦氏)が沖縄返還を巡り、ニクソン配下のハルペリン、キッシンジャーと極秘会談を続ける描写がサイドストーリー。

    フィリピン人にレイプされて孕んだ子供を必死に育てた母親役、かんのひとみさん。彼女がある意味、今作の要。縫いぐるみの猫との遣り取りは美しい。読み書きが出来ない為、必死に勉強して字を覚えていく。

    凄く好きなドラマ。こういう作品にこそ、神が宿る。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    この話、どうまとめるのか心配になったがアメリカの属国としてろくに相手にもされていなかった現実で締めてみせる。(若泉敬は密約を暴露した後、自死する)。
    沖縄密約暴露事件の元毎日新聞記者、西山太吉氏についても触れられた。

    だが自分が求めたのはそこではない。純情を汚さず生きていこうと云う人々の秘めた願い。そこに何の意味も価値もないが、それが故に尊い。刑務所に面会に来る母親がどんどん字を覚えていく描写が美しい。ただ、それでも物語は終われない。何故、沖縄は今日まで苦しみ続けなくてはならないのか?

    話題になった『新聞記者』も、安倍政権が生物兵器の研究施設のある大学を作ろうとしていると云うネタにどうも乗れなかった。何か違う。安倍政権(黒幕の『日本会議』)が憲法改正してまでどうしてもやらなくてはならないことを示すべきだった。『それは“戦争の出来る国”作り。敗戦国の汚名を払拭して、敗戦前の主権国家に戻すこと。敗戦国のまま、戦争回避を掲げたままではこの国に未来はない。戦争は一つの有力な外交手段であるが故』。善悪の彼岸に立つ、そここそを突いて欲しかった。

    眼前に迫っている台湾有事、嫌でも選ばざるを得ない。

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    2023/04/08 16:50

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