実演鑑賞
満足度★★★★
未見の団体。全員女性で禁断の世界を描く。
満席の人気公演。キャスト全員での出迎えとお見送り(物販兼ねて)といった心配り👍
谷崎潤一郎の「卍」を、「令和5年の新解釈にて再哲学し、ズカ★ガール流に描き出した意欲作」という謳い文句…観(魅)せるといった華やかさが印象的であった。新作を書く”先生”の原稿用紙の上、四つ巴の恋愛悲喜劇を爛漫と乱れ咲くという執筆<行為>、それと作品<物語自体>として同時並行して展開していく。原作の「卍」<まんじ>は、その文字の形が、主要な登場人物4人(園子、光子、孝太郎、栄次郎)の輻輳した関係を暗示している といったもの。基本はそれを準えている。
今でこそ LGBTQはあまりスキャンダラスといった驚きはしない、というか 逆に現代の多様な性の在り方〈性的マイノリティ〉として注目されている。「卍」が連載された昭和3年当時は かなり刺激的だったのではなかろうか。「同性愛」という異常なる性愛奇譚、とは言えドロドロとした愛欲・溺愛といった執着心がない。そこが少し物足りない。むしろ或る種の清々しさ 華やかさ 幻想さが前面に出おり、その着飾りが裸の心を見えなくしている。
谷崎作品=耽美的と捉え、禁断の逢瀬をエロティシズムに満ちたものと勝手に思っていたが…。
(上演時間1時間15分 途中休憩なし)