実演鑑賞
満足度★★★
「ジョン万次郎」といえば居酒屋チェーンだが、もう全部潰れているらしい。江戸時代に難破してアメリカ漁船に救助され向こうで英語を学んで帰ってきた人、位の知識しかなかった。去年の夏観た『人間になりたがった猫』がイマイチだった為、四季のファミリー向けには警戒していたが今作はよく出来ている。楽曲も悪くない。美術も衣装も見事。
冒頭、当時のアメリカの新聞記者の女性二人と江戸の瓦版の女性二人が地図を前に解説してくれる。大森美優似の土居來未(くるみ)さんと秋元才加の目力を持つ東沙綾さんが気になった。
大荒れの海、嵐に遭遇した漁船が大波の中を右往左往。ド迫力のポリエステルサテン生地(?)をうねらせた大海原。投影された雨、アナログの力を思い知る。人力に勝るものなし。
バカリズムっぽくもある島村幸大(ゆきひろ)氏演ずる14歳の万次郎。アメリカの捕鯨船に救助される。ホイットフィールド船長(北澤裕輔氏)に見込まれ、養子のような形でアメリカへ。こんな優しい良い人がいつの時代も世界に確かに存在していることの不思議。万次郎は11年後に到頭帰国。薩摩藩主、島津斉彬(なりあきら)の夢、開国して日本を近代国家に生まれ変わらせることを聞く。島津斉彬役も北澤裕輔氏。
侍が突然美声で歌い出す違和感が悪くない。今こそ『鴛鴦歌合戦』をミュージカル舞台化したら受けるのでは。