実演鑑賞
満足度★★★★
長尺短編、硬軟様々な作品を生み出すさんらん。今回はやや薄味であったが締める所は締め、可愛らしく、うまい。話の舞台も人物も(勿論筋も)違うのだがさんらん(尾崎氏)らしい筆致があるな、と感じた所だ。ラーメン屋の話だが、「ラーメン業界」のディテイルや、ラーメン屋を目指したその人間の内面が想像されるリアリティの担保を押さえている点に作家の力量を見る。(先に別の芝居のコメントに書いたが)山に入った男が亡くなった妻の霊としばしの時間を過ごす、その結末にはやはりギルティを持て余す生者(夫)への妻からの贈り物がある。現実世界で共に過ごした相手からの言葉として過不足ない(甘すぎもせず冷淡でもなく)。つくづく演劇は失った時間を生き直す芸術と思うこの頃。