リングワンダリング 公演情報 Monochrome Plus「リングワンダリング」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    悪夢に魅せられて。
    眠りのなかで覚醒した主人公が不可思議な数々に出会い『わからないけれど知っているような気がする』事柄を、おぼろげな記憶を頼りに紐解くお話。
    バランスを崩した現実感とシャッフルされた時間軸、ワタシの夢の中へワタシが翻弄されていく筋書きは、ありがちではあるものの、SF好きにはたまらない内容。
    核心に近づくたびにすれ違う様子を、前触れもなく擬物表現をはじめるところや、ひとつの単語を多面的な使い方をするところ、独特のセリフの間などを用いて表現されており、また、声の響きや風の匂いなど目に見えないものを色で取り囲む情景が、ノスタルジックで素敵でした。

    ネタバレBOX

    舞台の真ん中に、うねうねと天上に登っていく蛇のモチーフの彫刻が入った虹色の大きな長方形の塔があり、その周りを取り囲むように配置された、長方形の塔と同じように虹色に塗り込められたドーナツ状の舗道がある。下手に向かってくだり坂の、アンバランスな形状の舗道を行ったり来たりして物語は進んでいく。

    気がつくと見知らぬ場所にいたイチゴのもとへやってきた悪魔のように全身真っ黒のパピコと名乗る変な妖精は 「アナタは桜の木の下で居眠りをしたのだから、スナークハントをしないと桜島からは帰れない」と告げる。
    スナークとは記憶を食べて、記憶を虫食いだらけにするオバケで、ハントをするにはスナーク(信用できないヤツ)の目前で本気で死ね。と願って一回両手を叩くだけでいいらしい。
    「試しにパピコを殺してごらん。」言われた通りにしてみると、パピコは死んで友だちのチトセの声が聞こえた。「いーっちゃん。」
    我に返ったイチゴは、悪い夢を見ていたことを悟る。

    一方、桜島ではイチゴの記憶を整頓する作業と、イチゴにトラップを仕掛けるための記憶の書き換え作業が、クランキーらの手によって同時進行されていた。

    ひとつめは、イチゴとチトセが大学時代に所属していた都市伝説のサークル仲間と雨の日にしか現れない喫茶店がこの街のどこかにあることを、専ら話題にしていた記憶。
    ふたつめは、子供のころにイチゴが近所の古道具屋の鍵の掛かる金庫(?)のなかに、ベルとマーブルを閉じ込めてしまった記憶。

    このふたつのエピソードを完全に思い出した時、マーブルが妊娠した赤子は、イチゴの記憶の”鍵”を片手に握りしめて出生し、その鍵を受け取り、マーブルとマーブルの夫によって擬物化された”謎を解き明かす扉”をこじ開けると、雨の日にしか見えない幻の喫茶店、カフェ・ボエールにイチゴはいた。何かがおかしい・・・?

    迷いこんだ夢のなかでワタシの意識が覚醒すると、今度はパピコやクランキーらがやってきて、なぞなぞを出題。「さて、スナークは誰でしょう?」当てずっぽうで、都市伝説サークルに所属していたベルに狙いを定め、両手を叩くとベルは死んだ。ホッと胸を撫で下ろすイチゴに「スネークはひとり。だなんて誰が言った?桜の木の数だけ、記憶はあるのよ。」とパピコは笑った。

    「いーっちゃん。」友だちのチトセの声で目覚めたイチゴ。ふたりは笑い合う。
    ここがどこか。なんてふたりには、まるで関係がないように…。

    見ている本人ですら全てを思い出せない断片的な夢を、感覚神経を研ぎ澄ませて具象化したような舞台だったため、夢と現実の境界線が曖昧で、どこまでが嘘でどこからが本当なのか最後までよくわからなかったけれど、正解がひとつではないことは、安堵感にも似た不思議な余韻を残した。これは矢張り、俳優の表情とワンテンポ余白のある台詞の間に、虹色の照明がゆっくりと発光していたことが大きいように思う。

    ストップウォッチとかめんどくさい。サボりたい。なんてぼやいてる時間ちゃんと、縦・横・高さだけ気にしていればいいから三次元なんて楽勝!って張りきっている空間ちゃんの観念キャラは、ちゃんと仕事をしてくれないと全人類にとって死活問題な、スケールのでかいことを話題にしてるのに、その辺の公園でダラダラしゃべってるような雰囲気で愉快だった。彼女たちが重い腰を上げて記憶がバラバラになっているイチゴに意外と貢献していたのも妙。ただ、後半に挿入される、春眠と名乗る異人が出て来て、暁が覚えられない、という『春眠暁を覚えず』になぞらえたベタな寸劇は正直に言ってしまうと、不要に感じた。

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    2010/04/26 04:27

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