なるべく派手な服を着る 公演情報 MONO「なるべく派手な服を着る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『おそ松くん』の亜種みたいな喜劇。増築を繰り返したせいで迷路のように入り組んだ家。茶の間の押し入れの隠し通路を通らないと台所にまで辿り着けない。父が危篤で六人兄弟が久方振りに揃う。長男だけが書道家の父の跡を継いで実家暮らし。
    上の四兄弟は四つ子、五男は存在感がなく誰も思い出さない。六男は養子で四人の兄にとっては可愛くて仕方ないマスコット的存在。
    次男の内縁の妻、四男の内縁の妻、五男の彼女も連れて来られる。

    奇妙な味わいの作風、謎ルールに縛られた家。全員妙にキャラが立っている。早逝した母親への愛慕。
    家族が他人になっていく瞬間、他人が家族になっていく瞬間、言語化出来ない人と人との感覚。空間と時間の共有、優しさの共有。手触りで相手の存在を確かめ合い心を許し合う。階段の隅で誰にも気付かれずずっとそこに居た、ラストの五男の涙が美しい。
    キーワードは「おひおひ」「オロロンロン」。

    ネタバレBOX

    長男の奥村泰彦氏はジャンポケ太田っぽい。過去に強盗殺人事件の容疑者として誤認逮捕されたことを引きずっている。
    次男の水沼健氏はトランプの新しいゲームを次々と開発するが難解で不条理なルールが不評。長男になることに憧れている。
    その内縁の妻、石丸奈菜美さんは西山喜久恵っぽい。二面性が強く、男性がいない席では山賊みたいな振る舞い。兄弟の亡き母にどこかしら似ているらしい。
    三男の金替康博氏は著名なカメラマン。モロ師岡っぽい。
    四男の土田英生(ひでお)氏は体格がよく妻を何かと怒鳴り散らす。学校に行ってなかった為、ものを知らない。作・演出も兼ねている。
    四男の内縁の妻、高橋明日香さんはドMで罵倒され叱られることで自分の中の不安感をかき消している。SKE48の荒井優希と森下愛子を足したような美人。
    五男の尾方宣久氏はやたら派手な服装で木下ほうかっぽい。誰の記憶にも残らず、誰もが存在をすぐに忘れ去ってしまう。六男が可愛がられているのを見て、養子に憧れている。
    五男の連れて来た彼女は立川(たつかわ)茜さん。清潔感のある美人。四男のカメラマンの写真集をコンプリートする程のファン。
    六男の渡辺啓太氏は大柄な体格だが未だに子供扱い。兄ちゃん達に任せておけば大丈夫と絶大な信頼を寄せている。

    各キャラ設定が細かく描き込まれている為、至る所で「てんどん」(リピート・ギャグ)が繰り返される。五男を無視、六男に夢中、妻を叱り付ける四男、台所に辿り着けない女性陣、次男の妻の豹変。

    死の床にあった父親が六男だけではなく、全員養子だったことを明かす。五男だけ母親とケーキ屋の爺さんの子供。全く血の繋がっていない子供達を本当の子供として育ててきた父親の凄さ。母親は男にだらしない性分だったらしい。それを知って家族というものの括りが壊れてしまい、何となく皆他人行儀になっていく。変わらないのは五男の寂しさだけ。

    帰りの電車で荻窪駅周辺がカオス。右翼の街宣車が大音量で中核派の杉並区議会議員・洞口朋子のデモ行進を邪魔しに襲来。警官隊が集結で厳戒態勢。一瞬、洞口依子かと思って驚いた。

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    2023/03/06 06:13

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