実演鑑賞
満足度★★★★
新宿で軽喜劇というのは良い企画である。トップスはうってつけの小屋でもある。トップスが以前の時代、ここではカクスコとか小劇場の中でも庶民的な親しみのある劇団がよく出ていた。音楽が入って、あがた森魚というのも似合っている。
役者は渡辺哲と酒井敏也。ハナシは老人ホームで一へや二人で生活することになった老人たちと彼らを取り巻くホームの男性看護師二人と渡辺哲の息子。女性が出ないエンタテイメントである。作者はニシオカ・ト・ニール、ほぼ9分の入りだったからまずはめでたいが、見物からの注文を言えば。
喜劇の軽みがほしい。ギャグも古い(のは良いとしても、処理がもたれる)、後半、ファンタジーみたいになって、息子がからんで、卵を孵化するという話になるが、そこで想像上の鳥がぬいぐるみで出てくるが、説明的でウイットがない。
老人ホームのハナシだから渡辺、酒井のご両人は年齢的にも役どころだろうが、この二人は、脇役としては芝居を締める良い俳優だが出ずっぱりの主役はあまり経験が無いだろう。すぐに手がつきる。そこは、作・演出が補わなければいけないところだが、作者も一本丸々90分引き受けた経験は少ないのでは無いか。こちらも手がつきる。誰が悪いのではなくて、それだけ難しい出し物なのだ。経験を積むしかない。そのうちに、もっと楽に楽しめるものが出てくるのを期待したい。入りが良いのに慢心しないように。
「じりりた」というのは自利と利他だそうで、これは少し飛びすぎか。