さらば箱舟 公演情報 オーストラ・マコンドー「さらば箱舟」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    1967年にコロンビアのガブリエル・ガルシア=マルケスが発表した小説、『百年の孤独』。世界的ベストセラーとなり、ノーベル文学賞を受賞。
    それを寺山修司が翻案し、1981年に舞台化したものが『さらば箱舟』。
    それを更に1982年に映画化したものの、原作権問題で揉めて公開出来ず。寺山修司の死後、1984年に公開されている。
    今作はタイトルこそ同じだが、ほぼ全く別の新作だろう。

    ちなみに黒木本店のプレミアム焼酎『百年の孤独』は、文学好きの四代目がガルシア=マルケスに電話で直談判して許可を得たと云う。

    上手サイドに生演奏の川崎テツシ氏。その後ろに黒子のプロデューサー(?)が台本片手に座っており、彼の背中に触れることでBGMのオン・オフを指示。MIDIキーボードとギターでアンビエント・ミュージックを奏で続ける。

    衣裳(西本朋子さん)が近未来風、『アルファヴィル』みたい。何かアマヤドリっぽい意識高い系の演劇。

    主演の小林風花さんは低いトーンでモノローグのような抑揚のない台詞を呟く。『青の6号』というOVAアニメのキャラっぽい。
    座長役の坂本真氏が若き日の宮崎駿っぽい。
    関西弁のめがねさんが随分ベテランの貫禄だったが、23歳の若手だったことに驚いた。
    下手な手品を披露する三坂知絵子さん、旦那は新海誠!

    劇団のメタフィクションな部分も織り込みつつ、タブーとされた恋愛関係についてもじっと考察するような物語。
    この系の演劇が大嫌いな自分にとって、逆に色々と考える時間になった。

    ネタバレBOX

    認知症になった父は全く意味の解らない言語で喋るようになった。言語学者である主人公は、何とかその意味を解き明かそうとする。父は死に、この言語は創作したものではなく、かつて存在したが失われた言語なのではないかと考える。幾つかの解読した言葉。「自分はお前の父ではない。本当の父母は別にいる。」
    仕事を依頼されオーストラと云う滅びた街に向かう主人公。街は海に沈んで全てが消え去っていた。そこで会った男女のいざないで、時間を遡行して過去のオーストラに辿り着く。
    旅芸人の一座がオーディションをやっていて、そこに潜り込む主人公。自分を産む前の母親に出会う。すでに妊娠している母、父親は果たして誰なのか?

    いとこ同士(近親)で結婚すると呪われて奇形児が産まれる為、禁忌とされている地域。愛し合った二人は故郷を捨てて自ら新しい街を築く。だがその末裔もいとこ同士で愛し合ってしまう、永久に巡る因果。

    オシャレな衣装、オシャレな台詞、オシャレな空間。観客はカフェ巡りのように、オシャレなムードを味わう。誰もコーヒーに口をつけようとはしない。そこが凄く演劇の核となる部分。

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    2023/02/23 14:18

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