ザッツワンスモールステップ 公演情報 完全右脳アルコロジー「ザッツワンスモールステップ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    母が子(息子)を思う気持、子が母を思慕する気持、その親子の情愛をファンタジーとして描いた追想劇。主人公:たーくんの脳内物語…理論というよりは感情優先で、思考ならぬ試行錯誤を繰り返していくようだ。或る日、ウサギのジャンピーが現れ 再び物語の続きを書くように促すが…。少しネタバレするが、25年ぶりに書き出したことから、物語の内容は勿論 登場人物まで忘れている。

    物語は、微(幽)かに残る母との思い出を手繰り寄せるように展開し、関心を惹く。主人公の脳内で紡ぐ話は、現在であり 過去にも遡行する。時間と空間が錯綜し不思議な世界観を形成していく。

    空間と時間は 離れ変われども、親子の情愛は不変といった分かり易さ。登場する人物によってお伽噺であり空想科学にもなる。人の脳内ほど描く題材は豊富、テーマに事欠くことなく自由自在に展開していく。
    表層的には明るく楽しいが、何となく浮遊感がありすぎ、親子の絆・情愛の深さといった物語の芯が暈けたようで勿体なかった。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし)【Aチ-ム】

    ネタバレBOX

    舞台美術は中央に階段、下手に置台のようなものがあるだけ。冒頭は色々な衣裳を着た人物が勢揃いしている。しかし、主人公である たーくん は突っ伏して寝ている。母は寝ている たーくんに優しく遠く月に旅立つことを告げる。

    物語の書き手である たーくんは、途中まで書いては頓挫を繰り返していたが、ウサギのジャンピーに導かれ話の続きを書こうと…。別々の話と思っていた登場人物が段々と関係を築くことによって、物語の中(たーくんの脳内)で、母との思いを繋いでいく。母は たーくんが幼い頃に亡くなり、別の場所(月)にいると。そして幼い たーくんを寝かし付けるために母が生み出した物語にウサギのジャンピーが登場する。そう母が生んだ、その意味で たーくんの妹にあたる。

    日本で月が登場する物語ー竹取物語で”かぐや姫”は「月の都」の住人で、人は 清らに老いをせずとなる<不老不死>。また人類が月に降り立つまではウサギがおり、といった迷信も云われていた。ラストは、アポロ11号の月面着陸に準えたロケットによる宇宙飛行(士)まで登場し、母が居るであろう月を目指す。荒唐無稽のようにも思えるが、それだけ母に会いたいという思慕の現れ。

    演技 特に表情は、初日に観たため 少し硬い感じがした。それをアップテンポな動きでカバーし、全体としては緩急ある観せ方になっていた。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/02/09 17:51

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