絵に描いた餅のような芝居
堤春恵さんが、独自の想念をめぐらせて書き下ろした作品…まさに、その通り、それに尽きる作品でした。
つまり、絵に描いた餅。作者が頭の中だけで原稿用紙に表出したまことしやかな嘘芝居でしかなかったということです。そんな、芝居モドキの舞台に1時間40分も付き合わされ、心底辟易しました。
まるで、出来損ないの新派芝居、または三島の近代能楽集もどき。
日舞の「隅田川」に材を取り、和装で、名女優の一柳みるさんが、舞ったりすれば、そこそこ、実しやかに見えてしまいそうですが、一皮向けば、まさに作家の勝手な想念を頭の中で取り繕っただけの、スカスカな内容の拵え芝居で、げんなりしました。
ほとんどが、私より悠にご高齢の客層なのに、慣れない小劇場の椅子で、あんな中身のない芝居を見せられるなんて、あまりにもお気の毒でした。
それに、木山さん、小劇場の演出の術を心得ていらっしゃらない気がしました。劇場空間の把握が為されていない演出でした。劇場入り口に、無愛想に立っていらして、とてもお客様を迎える風情とはお見受けしないことも残念でした。それも、合わせて、木山事務所の小劇場公演は再考の余地があると思いました。
あー、そうして、またもや!!こういう、古ぼけたかび臭い、何の面白みも真実味もない芝居に限って、何故か助成事業の対象になっている、情けない現実!!この現実が、演劇界の不条理そのものだと強く思いました。