はやくぜんぶおわってしまえ 公演情報 果てとチーク「はやくぜんぶおわってしまえ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/01/22 (日) 14:00

    チクチク刺さるような言葉が浮遊する不思議な感覚だった。
    唯一実際に出てくる大人が女性の先生で、この人が一身にJKたちの標的となってしまっているようだ。客席はこの先生と同じ、大人たち。客席に引っ込んで眺めているから深手は負わないが、舞台に立っていたらたぶん、浮遊する言葉で血を流すかもしれない。

    物語は、女子校でミス・ミスターコンテストが先生の圧力で中止になるところから始まる。中止の理由が、容姿などに順位を付けるのはいかがなものかという点と、性自認の観点からということだった。性自認の観点は「多様な人、多様な性があるから、男女という単純なカテゴリーでランク付けしてはならない」と言ったのかと思ってしまったが、当時の大人たちがそんことを言うはずはない。
    舞台には、女性であることに違和感を感じている生徒が登場していて、仲間の生徒たちは比較的ナチュラルに受け入れているように見える。ただ、10年前の女子校という設定だから、まだまだLGBTという言葉が浸透していないころだ。世の中には男と女しかいないという大人たちによる空気で育ってきたJKたちだから、やっぱりどう扱っていいか分からない微妙な空気も流れたりする。

    そんな細かなところまで感じさせるうまい会話劇だった。ラストシーンを飾る、余りにもありがちな事件に、大人たちはやはり、上から目線ではなくきちんと現実を知ることから始めなければいけないと感じる。生徒が発する強烈なひと言は身震いするほどだった。

    1時間とコンパクトな舞台だが、余計な登場人物やシーンを出さず、きっちりと余分なものをそぎ落としたシャープな舞台だ。しかも、うまく構成されていたと思う。ただ、ラストシーンのメタファーはよく分からなかった。断絶の象徴? それとも…。

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    2023/01/22 16:33

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