満足度★★★★
多部未華子嬢、かわいい
初演版は未見。
チラシを読んで、農業がキライで田舎を飛び出した少女が農業に回帰していく話かあ...と勝手に予想しての観劇でしたが、少女の死の理由を語るという展開、どうやら一筋縄では行かない様子で。
農家が嫌で都会に飛び出した百子は、山本や都罪らと出会い、新しい世界に触れるのですが、田舎とゆったりした均一な世界と違って、山本は山本の、都罪は都罪の世界があって、さらに都罪には、その時々で世界がかわってゆくんですね。都罪の世界に影響され、その都度染まってゆく百子ですが、やがて"農業少女"という米作りを自分の世界としてしまいます。
ラストで、百子は、なぜ農家が嫌であるのか、女性であることが嫌なのか(種をまかれるのをじっと待っているだけ...云々)を延々と語りますが、「農業=生み出し育てることの重大さ」を百子は多分知っていて、だから都罪たちのように消費し廃棄してゆくことができず、死を選ばざるを得なかったのでしょうね。
百子の行く末は悲劇ですが、彼女の最後の叫びがとても力強く、逆にそれまで野心にあふれていた都罪はひどく矮小に見えて爽快でした。大地に根ざしたものって、やっぱり強い。だから女(というか母的なもの)って強いのでしょうね。
多部未華子嬢、かわいい。TVでは小柄なイメージがあったんですが、割と大きめ。肉食獣みたいな鋭い表情するときがあり、ドキっとします(劇中で"シャーッ"と噛み付く仕草をする場面がありますが、そういう場面っていうことではなくて)。こちらによると、初舞台当時の宮沢りえに似てるとありますが、オイラてきには野生の照明で初めて薬師丸ひろ子を見たときの印象に近いです。
江本純子女史、江戸弁がへんちくりんで可笑しかった。あれは、田舎者が想像する間違った都会人の姿なのかな(笑)。