棄憶~kioku~ 公演情報 G-up「棄憶~kioku~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    確かに異種格闘技戦でした。
    第二次大戦時、満州に実在した「731部隊」の生き残りと、戦後未解決事件としても有名な「帝銀事件」を絶妙に絡ませた物語。キャストの演技は非の打ちどころがなく完璧!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    1948年。廃墟と化した旧陸軍軍医学校跡地での7人の男たちの会話劇。
    かつて彼らは大陸にて丸太と称する、生きてる人間・3000人を研究の材料として人体実験をしていた。この人体実験をしていた医師ら6人と当時の衛生兵の犯した罪を会話劇の中で追っていきながら、過去の物語を組み立て、現在のお互いの立ち位置をそれぞれが見張る、という筋。

    生きてる人間を麻酔もせずにのど仏から臍までをメスで切り裂いて臓器を一つずつ取りあげて、重量を計測して実験した成果や、瓶に収めて標本にした経緯なども表現する箇所があり、案外エグイ。しかしこのエグサはやはり必要な表現だろうと感じた。そのくらい、残酷で悲惨な実験だったのだ。そんな実験を繰り返してきた6人の医師たちは「あの施設は最高だった。設備も頭脳も。殺人じゃない、実験だ。全ては今後の医学の進歩のためにやった。」とのたまう。彼らはその事をずっと秘密裏にしてきたが、池袋の銀行を襲って12人を毒殺した事件から急展開する。その犯人はこの中に居るはずだと、お互いがお互いを勘ぐる。

    物語は始終、シリアスな展開のみ。緊張の連続だった。それぞれの心理的追求とお互いが罪の意識を感じながらも、それを認めることをしない。認めてしまうと一気に崩れ落ちてしまうだろう精神が寸分の差でそこに実在するからだ。金の為にGHQの命令に自らの魂を売った辰沢。細菌兵器や非加熱製剤を絡ませながら、物語は終盤、一気に結果が出るが、その収束の仕方が実にお見事だった。序盤から終盤まで瞬きも出来ないほどのめり込んだ。まさに張りつめた舞台だった。大絶賛!

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    2010/03/08 01:37

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