実演鑑賞
これ、観に行ってるはずなのだがコメントを書いてない。ホントに観た?・・あらすじを見て、うむ。確かに観た。関西の大店の言葉遣い、所作、流儀に至る「それらしさ」が流麗に間合い良くそつなく再現され、筆致がよいというのか、作者が目で見てきたものを写しただけでは?と思ってしまう程。
問題はストーリーで、話が進むごとに気になる問題がもたげ、どうにかゴールには辿り着いたが解消し残しが多かったという朧げな記憶がある。
上方落語の中に時々顔を出す、「相手を慮る」台詞、抑揚・声色のねっとりした感触が、私は苦手なのだが、わかぎえふの名家や大店を舞台にした芝居には、よくある。財力や地位の力を背景に、親切に助言、援助の申し出、諭し、叱咤と、上からの物言い。その人物の「親切」をさり気なくアピールする、その姿を描くというなら判るが、書き手がそのように印象づけようとしている風に見える。率直に本心から言葉をかけただけ、という可能性はある、だがそうでない可能性もある、というのが人間の言葉だが、口にした言葉でもって説明した事になってる所がある。だがそれは、観客はそれを客観視する存在であるはずが、それを聴く相手(役)のように言葉を聞かされること、これが居心地の悪さの理由である。
その人間が「真剣」であるか否かは、別の方法で証明せねばならない。俳優業の構えにも表れそうだ。