実演鑑賞
満足度★★★★★
光を知らない男と、声を奪われた女。
ハンディキャップを持つ男女が出会い、ゆっくりと愛を育んでいく様子が優しく、美しく、丁寧に描写されていて。
それだけに突然の悲劇に、自分まで突き落とされたような気持ちになりました。
復讐を誓い、鬼と化した男の痛々しいほどの戦い。
その裏にあった、周囲の思惑。
謎が解きほぐされた瞬間の驚きとカタルシスは、「これを知った状態でもう一度最初から観たい」という欲望を掻き立てるほどの大きさを持っていました。
今回の再演に際して追加された演出は、挑戦する勇気と実力に感嘆するほかないもので。
殺陣の激しさと、人の心を描く繊細さを両立させた、稀有な舞台だったと思います。
演じる人間、そして物語を作った人間の優しさと体温とを感じる作品でした。