ネバーランド 公演情報 星降る湯の花「ネバーランド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    公演は三話「人生はラン&ガンガンガン‼ver.松原」「あわてんぼうのサンタクロース」「どこにもない国」のオムニバス〈同一作者だが〉と大喜利。

    タイトル「ネバーランド」はピーターパンをモチーフにしているようだが、公演全体としては12月を意識した内容になっている。25日のクリスマス、27日がピータパンの日らしい(知らなかった)。そして一話目は全員のお披露目であり、サブタイトルにある松原瑚春さんの独壇場のような話。走りの RUNであるが、何となく楽しいランランランを意識した内容になっている。

    すべての作・演出は湯口智行氏、それぞれのテイストが異なり間口の広さを感じさせる。「あわてんぼうのサンタクロース」は面白可笑しさの中に哀切と愛情を描いた感動作。「どこにもない国」はピータパンの物語で夢と希望の冒険譚、その中に少し怖さを内包している。
    それぞれに登場する人物(役者人)の素の横顔を紹介しているのが、「人生はラン&ガンガンガン‼ver.松原」である。この構成が絶妙で、後々印象に残るような巧さ。
    (上演時間2時間 途中<換気・転換>休憩10分)

    ネタバレBOX

    会場は「GINZA Lounge ZERO」、銀座7丁目にあり 音楽と食事をカジュアルに楽しむライヴハウス&レストラン。その空間の一角にある舞台での上演。「人生はラン&ガンガンガン‼ver.松原」は素舞台で、全員が横一列に並び走り続ける。クリスマス(イヴ)の日、彼(男)から誘いがあり、ソワソワする二十歳の松原さん。何か良いコトが起きそうな予感、そんな彼女に色々な人ー美容師・ネイリスト・着付けの人 等が関わってくる。物語(劇中)なのか現実の役者仲間としての絡みなのか、混沌とした世界観に可笑しみが溢れ出る。見た目も被り物で楽しませる。

    「あわてんぼうのサンタクロース」は、普段 レストランで使用しているテーブルと椅子をセットとして利用する。クリスマス時期にも係わらず、忙しく仕事をする鹿野俊輔(寺島八雲サン)、家には小学3年生の一人娘・千尋(松原瑚春サン)が待っている。この娘がサンタに頼んだプレゼントは、父に休みを与えてほしいこと。母が亡くなり父一人で育てていることに対する感謝と心配する気持ち。それを手紙を読むという形で表す。学校の先生役・星宏美さんのさり気ない優しさが、ちょぴり切ない話を温かくする。始めにブラックサンタクロースが登場し、誘拐もしくはプレゼントを奪うという真逆の行為を描くが、いつの間にか滋味溢れる内容へ変わる。ブラック=企業(激務)という比喩だろうか。

    「どこにもない国」は、ピーターパン物語。ちなみに ピーターパンの日は、1904年の12月27日に、イギリスの劇作家ジェームス・バリーの童話劇『ピーターパン』がロンドンで初演された日に由来するらしい。
    さて、ピーターパンが住む世界は「ネバーランド」と呼ばれ、子供と妖精が住む夢の国だ。大人は 海賊フック船長などの一部を除き、大人はいない。それは大人になることを嫌い子供たちが大人になると殺していた らしい。ピーターパンが子供たちを誘っていながら、大人になったら意図的に排除していたよう。案外 ブラックなストーリーだ。物語とは別のところで、「ピーターパン症候群」という言葉を連想する。いわゆる 大人の年齢だが精神的には大人になり切れない。成長することを”拒む”の比喩として”殺す”であろうか。

    表層的には、三話とも緩い笑いを含んでおり 甘味と苦味が入り混じった描き方である。今のクリスマス時期に合わせたような内容だが、単に 楽しくハッピーというだけではなく、少し捻りを利かせた物語にしている。そこが面白可笑しいだけではなく、印象に残るような…。
    芝居(オムニバス)の後、大喜利で観客を楽しませる。舞台(役者)と客席(観客)の距離が近くなるような親しみある演出、何ともサービス精神に溢れた公演だ。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2022/12/28 12:37

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大