実演鑑賞
満足度★★★★
1982年の初演以来「ブレヒトの芝居小屋」で続けてきたクリスマス公演を、新拠点の新座〈市民会館〉で4年振りに復活上演。開場前から長蛇の列、それだけ待ち望まれていた証であろう。
ほんとうの幸いとは何かを考え始める。現実と幻想が融合したような芝居…僅か2公演だが、素晴らしい夢が観られた。
原作「銀河鉄道の夜」の物語を2幕構成で紡ぐ。公演の魅力は、幻想・夢幻の世界観を、雰囲気ある舞台美術と音響・照明・映像といった舞台技術を駆使して見事に描き出しているところ。また多くの小物で楽しませ、飛びモノで驚かせる、その工夫した演出がとても印象的である。
しかし、幻のような内容で実態が掴み難いことから、(特に1幕目は)その理解が追い付かないもどかしさがあった。2幕目へ続く切っ掛け・・ジョバンニが いつの間にか天の川を走る軽便鉄道に乗って幻想四次元の世界に旅立っていた、という件も分かり難い。当日は多くの子供も観に来ており、幕間で同様の感想を漏らしていた。
2幕目 軽便鉄道の旅は、滋味溢れる小話が次々と展開し、宇宙という壮大な世界を表出する。それだけに、1幕と2幕でそれぞれ 現実と幻想のメリハリある表現を行い、もう少し世界観の違いを観せる必要があった。ビジュアル面だけではなく、物語(内容)全体の面白さが伝われば、もっと観応えある公演になったと思う。
(上演時間1時間45分 途中休憩15分) 追記予定