時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    前半はイマイチ面白くなかった。全ての駒が揃った後半から盛り上がる。武田信玄から家督を継ぐことになる勝頼が甲斐武田氏最後の「お屋形様」となり滅んでいく姿。

    冒頭、異母兄弟の兄、武田義信が泣きじゃくっている幼き勝頼を励ます。「悲しい時辛い時苦しい時には顔を空に向けて大きく息を吸うのだ。どうしても守りたい大切なもののことをじっと思い浮かべろ。」
    その言葉を胸に生き抜いてきた勝頼、尊敬する兄は謀反の疑いを受け自害に追い込まれた。空に顔を向けて生きてゆかねばならぬ。勇猛果敢な武将として名を馳せていく。

    織田信長が天下統一の真っ最中。最後の室町幕府第15代征夷大将軍・足利義昭は信長打倒の為、武田家に味方する。(官位〈貴族の序列〉の叙位と偏諱〈へんき〉=〈一字拝領〉の運用)。
    公家の最高位、関白まで登り詰めた近衛前久(さきひさ)は織田信長への協力を選ぶ。権謀術数渦まく京の都。
    信長の嫡男、信忠はライバルである武田勝頼に不思議な感情を覚える。
    戦に次ぐ戦の中、武田信玄が病没、到頭勝頼が跡を継ぐことになるのだが。

    中村錦之助の『反逆児』を思い出した。時代背景は『影武者』と同じ。この長丁場(2時間20分)を男性俳優だけで持たせた濃厚な脚本。殆どがヤクザ映画を思わせる各陣営の会議シーンで物語を進める。流石に合戦は描けないか、と思ったが演ってみせた。脚本の書き方が理知的で緻密な詰将棋のような展開、知的快楽が刺激される。これは次作も観ざるを得ない。
    もの凄い作品や新しいジャンルを産み出す可能性を秘めている、この作家の方法論は興味深い。笠原和夫っぽい知的好奇心。誰もが知っている『太閤記』みたいな話を独自の語り口で綴ってみて欲しい。

    ネタバレBOX

    音楽が気にくわない。『隠し砦の三悪人』や『乱』、そして『影武者』のような強力なメロディーがいる。悲壮感、時代を引いて全景で眺めている感覚が。武田勝頼の空を見上げるテーマ曲。そのリフレインでラストと幼年時代をリンクさせたい。

    「長篠の戦い」の敗因が、捕まった間者が偽の密書を武田軍に届けたせいというのも興醒める。(鳥居強右衛門〈とりいすねえもん〉の逸話がモチーフか?)

    地図でもいいから地理的な説明は欲しかった。勝頼が武名を轟かすエピソード、如何に軍事戦略に長けていたかを序盤に示した方が良い。

    織田信長、徳川家康、武田信玄は存在として欲しいところ。特に信玄との数少なき邂逅が、一族を率いる勝頼の胸の底流に流れていて欲しい。

    後に織田信忠は「本能寺の変」の救援に駆け付けるが、明智軍に二条新御所を取り囲まれ自刃することとなる。

    武田勝頼役、黒崎翔晴氏はGLAYのTERU似。
    二人の子役を兼任する春日馨仁君は利発そうな美少年。
    織田信忠役、松井翔吾氏はトータルテンボスの藤田似。
    山縣昌景役、濱田和幸氏は本田博太郎っぽい。
    小山田信茂役、垣内あきら氏はディック東郷系。
    役者陣は骨太で豪華、魅力に溢れている。

    山田風太郎の『首の座』みたいな作品を期待。

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    2022/12/19 22:07

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