実演鑑賞
満足度★★★
前衛。涌田悠(わくたはるか)さんがステージに現れてストレッチのようなものを始める。ダンサーにしては矢鱈女性的な肉体。“短歌を詠むダンサー”らしいが、今回は短歌はなかった。ギターを抱えた田上碧(たがみあおい)さんが登場すると歌い出す。ジブリっぽい優しい曲調、コトリンゴのような透き通った声。それにのって涌田さんの舞踏が始まる。ステージを出て舞台裏を出入りしながら歌は続く。2階に上がり高い所へと。ギターを置いてマイクを持ち、即興のように会場中の目に映るもの全てを描写し始める。(即興だと思っていたが、どうやら完成された作品らしい)。涌田さんもそれに応じて言葉を奏でる。「ハッ」という言葉が響く。右半身の端っこから身体の中心へと。ポエトリー・リーディングのようなものがずっと続き、この辺は退屈。矢庭にギターを掴むと歌い出す。矢張り、音が要る作品。感情がないと全てが無機質。田上さんの歌は力がある。全てが真っ暗闇になるまで舞踏し続ける涌田さん。照明が練られている。
チラシのキャッチコピー、『言の葉に月の刃に皮膚の端の切れて一〇〇〇年後から手を振っていた』がカッコイイ。