実演鑑賞
満足度★★★
A(avant garde)・P(performance)・B(brothers) ・Tokyo。
寺山修司の代表作の一つ、勿論訳が分からない。
1969年(昭和44年)初演のベトナム戦争時代を背景にした8つのオムニバス。
マメ山田さんが突然「アメリカに行く」と言い出す。同棲していた筋肉質のゲイのアメフト選手、樋口裕司氏は「行かないで」とすがりつく。樋口氏のキャラはDDTのプロレスラー並み。無駄にエネルギッシュ。
話はあってないようなもので、切り取った「時代の気分」を味わう感覚。けれど客席はやたらそれに飢えている感じ。訳の分からないエネルギーを頭から浴びたいのでは。
男装の学生服姿、乾らいむさんが印象的。たんぽぽおさむ氏との父子対決は見もの。
客席上手側の真横で生演奏のSAXは真部健一氏、フリー・ジャズのように象の鳴き声のように。劇中に挿入されるギター弾き語りのミカカ氏の歌も強烈。
寺山修司一周忌公演として盟友・萩原朔美が「時代はサーカスの象にのって’84」を制作。鈴木慶一(ムーンライダーズ)が音楽プロデュース。多分その楽曲を使用している。
「戦争に行きたい」と歌う『I Want You』が印象的。
『地獄めがけて』は「地獄めがけてドロップキック そして5ヤード後退だ」の歌詞が秀逸。
萩原朔美氏は特別ゲストとして登場、場末の映画館の便所に身を潜める強姦魔として見事な独白。
頭脳警察の『時代はサーカスの象にのって』は使われなかった。