回人回 父母と三姉妹 公演情報 回人回製作所「回人回 父母と三姉妹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    未見の団体、初めて行った会場…期待と興味を持って観劇した。公演は「物語」と「パフォーマンス」で構成しているが、その融合性が感じられなかったのが残念。表層的な観せ方には拘りを感じるが、物語で描こうとしている内容と パフォーマンスが どう関連しているのかが分からない。
    公演は同調性を意識しているようで、それは登場人物の名前や衣装等に観てとれる。しかし 繰り返しになるが、物語とパフォーマンスは必ずしも同調しているとは思えない。
    パフォーマンスが何を表現していたのか、それを解き明かす鍵が 当日パンフに記されていた。

    物語は、時事ネタかと思える新興宗教、その教えに従い家族を護っていると思っている母、家庭内を顧みず社会(外)にばかり関心を持つ父、そんな両親から自立を…。バラバラになるのではなく、親の子離れと 子の自立(巣立ち)を描いている。劇中の台詞にある「徐々に、すこしづつ、段々と」は物語の展開そのものを表している。それでも自立を表明する子供たちの行動は唐突感があった。もう少し丁寧に描いていれば、もっと面白くなるだろう。
    (上演時間1時間) 22.12.6追記

    ネタバレBOX

    紗幕で囲い、四角形の舞台上に周回と対角(✖)を結んだ線がある。パフォーマーはその線の上だけを歩く、その決まりきった動きが家庭内での行動とも言える。外にはみ出させない制約、それによって内向的になった姿を連想するが判然としない。

    登場人物は5人…父・母・三人姉妹で夫々の内向性をそれとなく紹介していく。父(尾関良介サン)は縞模様、母(辻川幸代サン)は真っ白、長女・松子(水沼小百合サン)は緑、次女・梅子(松丸あやサン)は橙、三女・桜子(丹澤美緒サン)は桃という名前と色彩の衣装で、家族という同調性を表現する。母はラブナム教という新興宗教を信仰しており、家族を守るという名目で子供たちを外出させない。世間(社会)から見れば引き籠りといったネガティブな捉え方に見える。父は薄目を開けて家族(全体)を見たくない、一方 目を見開き社会(世間)の出来事には関心を示す。そんな家族一人ひとりの様子を描いていく。

    子供たちは、それぞれ自立を宣言する。竹子は好きな人と結ばれること、梅子は放浪の旅へ出ること、桜子は食べること、と言った自立をする。その展開が唐突であった。
    演技は、基本的にはパフォ-マーと同様、線上を歩いている。小物(折り紙等)を使い引き籠り生活を表現する。尾関さんのミニ拡声器を使った街頭演説、辻川さんのラブナム(=love南無?)教を唱える仕草が、坐禅を組み 両手で大きく弧を描き指先でハートマークを作る。その2人の姿が可笑しくも悲しく観える。

    この回人回(カイジンカイ)という造語は、作・演出の木嶋美香さんの頭の中のグルグルー矛盾や疑問を表現するのにピッタリと思ったからだという。
    このタイトルから パフォーマンスは、三姉妹<衣装の色彩>を表現しているのか。当日パンフから 振付の市松さんへは、サミュエル・ベケットの「Quad」をヒントに依頼しているらしい。その作品は観たことがないため、この表現の意図が分からない。物語とパフォーマンスが上手く連携していたのか、自分には別々の演目を観ているような気がした。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/12/05 01:07

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