ハーツ・ハート・ハード! 公演情報 イノチガケ「ハーツ・ハート・ハード!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    冒頭は ポップな感じの描き方だが、場面転換した途端に情景が一変する。その感情を揺さぶる振幅が凄い!登場人物はわずか4人、その個々人のキャラクターが強烈に描かれているが、客観的に見れば身近にいる人々である。そこに居る人によって 登場しない人物の意思が鮮明に伝わるようで、思わず唸ってしまう。自ずと「生と死、そして愛を見つめて」というシンプルなテーマガ浮かび上がる。

    面白可笑しい場面と緊張・緊迫した場面の緩急ある演出、それを出演者が熱演し物語の世界観をしっかり表している。舞台美術はシンプルであるが 状況が一目瞭然、そして絶え間なく聞こえる音が おのずと「生」を意識させる。勿論 照明・音楽といった舞台技術も印象的で余韻を残す。この作品こそ珠玉作と言っても過言ではない。観応え十分、ぜひ劇場で…。
    (上演時間1時間20分 途中休憩なし)22.12.2追記

    ネタバレBOX

    舞台美術…冒頭はドアの衝立があるだけで、怪しげな葬儀社の人々が ある誘い文句を喧伝する。黒いスーツに白手袋はそれらしい。そして暗転後、病室内を出現させる。上手にベット、その横に心電図らしき装置、中央にテーブルと椅子、下手に楕円形テーブルが置かれる。その狭い空間で濃密な会話が繰り広げられる。病室内<心電図>は始終ピッピッという音が鳴り、それがベットに寝ている患者の”生”を表している。

    患者は、この病院に勤務している看護師・藤原夕月(葉山あかりサン)の母<登場しない>である。この病院は近々閉院になる予定で、この患者をどこかへ転院させる必要があった。回復の見込みはなく、脳死状態のようだ。そして夕月の姉・美幸(月海舞由サン)は、近々結婚する予定で、その婚約者・本郷翔太(草薙智文サン)と病室へ見舞いに来る。これからの事を話し出す姉妹、中心は勿論 母をどうするかである。そして母の意思は父が亡くなった年から毎年書き替えてきた遺書が…。その数 10枚、最後に書いた遺言が有効になる。端的に言えば、美幸は転院して治療を望んでいるが、夕月は正直迷っている。

    姉妹の看取りというか死生観<意見>の違いは、そのまま生き方の違いを表した濃密な会話に発展する。自分の判断より母のアドバイスで生きてきた美幸、正しい選択ではなく、間違った選択をしない。そして婚約者は電通マンで将来有望のようであるが、彼もまた特別な人間になれなかったと…。大声で叫ぶだけの男かと思っていたが、その逃げの人生を悔いるかのような独白、その心情が痛いほど伝わる。一方、夕月は正論を言っているようだが、なかなか実行ができないタイプのよう。

    第三者的な立場で、医院長の鈴木実(岩田和浩サン)が閉院せざるを得ない事情と話す。そこへ落盤事故が起き、医院長の妻が巻き添えになったとの報が入る。行っても役に立たないからと 現場に向かわずこの病室にいる。救急搬送されてくる事故者のために病室を移そうと、その時に見つかったのが「臓器提供意思表示カード」である。またしても母の助けを借りたような姉妹は…。
    勿論、説明の「残念だけどさ、人生はフィルター加工出来ないんだよ。あ、結婚おめでとうございます 」はその後の関係を表す。

    生きることに不安や迷いは付いて回るが、同時に喜びや情熱なども生まれる。そんな有り触れた人生を病室という狭い空間にギュッと詰め込んだ物語。そして様々な感情の間で揺れ動きながらも一歩づつ確実に歩みを進める。それはここに登場した全ての人物に当てはまり、観客自身であり身近にいる人々の等身大でもあるから共感を誘う。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2022/11/30 18:10

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  • ご来場ありがとうございました。コメント大変励みになりました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

    2022/12/02 12:06

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