妖話会 公演情報 遊戯空間「妖話会」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    随分久々に訪れたプロトシアターだが、遊戯空間も暫く振りになる。三名によるリーディングにチェロ演奏が加わるが、チェロ奏者が開始、休憩、終了の挨拶をしていた。話者の読みは鬼気迫る風で、会場は禁忌な快楽を味わう秘密の会合めいている。
    遊戯空間では「サド侯爵夫人」(見逃した)から僅か一月後の上演だったが、この「妖話会」は加藤翠の企画で2019年から開催しているもので今回が三度目という。
    「妖」の名の通り、選ばれた三島由紀夫の両作品(30~40分程)とも妖な世界観を持つが、やはり遊戯空間らしく演出が光る。近代能楽集の演目「班女」は、狂女の花子(加藤翠)を紗幕の後ろ、調度品に囲まれた中央に置き、花子を家に住まわせる画家・実子(中村ひろみ)が上手、花子が思い続けている男性・吉雄(篠本賢一)が下手に台本を手に立つ三角形。休憩を挟んで「サーカス」は紗幕は除かれ、奥に篠本(サーカスの団長役及び他の男役の台詞)、「読み」の加藤・中村が手前の上下という三角形。
    住宅街の一角のひっそりと存在する空間での会合。「読み」にこだわる篠本氏ならではの構築力が今回も冴えていた。

    ネタバレBOX

    「班女」・・男を思って折々に駅に立つ花子の事をゴシップ記事に載せた新聞を手に、ほとんど呪いの形相で苛立つ実子の語りが冒頭。彼女は花子をモデルに描いた絵を世に出さない位に執心していて、花子の「想い人」が新聞を読んで訪ねて来はしまいかと恐れている。一計を案じ、実子は花子を旅行に誘うが断られ、ついに吉雄の訪問を受けてしまうのだが、、花子は訪ねて来た男の事を知らないと言い、男は肩を落として帰って行く。以前の日常が戻るが、狂気の女花子が胸にしまい続け、観念の領域に及んでしまった「恋」の虚しさと、ただその「美」に執着し花子を囲い込む実子の「勝利」の虚しさが谺する。

    「サーカス」・・こちらは戯曲ではなく地の文に時折、台詞が入る。開始早々始まるのは倒錯した団長の「趣味」の説明である。即ち彼は最も劇的な瞬間としての団員の出演中の「死」に焦がれている。観客の注視の中、出し物のクライマックスで、綱渡りの者が足を滑らせて落下し無惨な死を遂げる、といった・・。ある時団長が寝起きする天幕に何者かが忍び込んでいるのを見つけ、部下のP公に掴まえさせる。少年と少女の二人を見て団長は罰を与えるが、その目に何かを感じ、サーカスに雇い入れる事にする。少年に馬上曲芸、少女に綱渡りを仕込む。やがて団長が「その時」が近づいたと感じた頃、二人は逃亡を図る。だがこの度もP公に連れ戻され、そして「その時」を迎える事になる。もっとも事故を誘引する「仕込み」は蓋を開けるまで効を奏するか判らないのだが。。
    団長の心向きが二人の運命を決する残酷な現実と、その中に子ら(あるいは作者)が見出そうとする自由意思の余地との非対称性に目眩を起こすが、「死」に沸き立ち大いなる悲劇に涙する観衆たちを眺める団長の満足気な眼差しに、いつしか観客も同期させられているような、不思議な感覚に痺れた。

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    2022/11/28 05:12

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