演出が×、キャスティングも×
もうはっきり言って、観るに耐えない舞台でした。
あんな、役作りを要する難役を石井さんにキャスティングしないでほしい。
初演では意外に好演されていて、嬉しい誤算だったのに、再演で、役を深めるならいざしらず、またお得意の石井流演技になって、役が浅くなっていた!歩く時、前進はゲイ風に演じているのに、後退する時は、いつもの石井さんだし。
今井さんと、初風さんは、考えてみれば、いつどんな役でも、立ち方、歩き方が同じだし、浦井さんは、ミュージカル俳優として、進境著しいものの、最近、歌い終わりに、歯をむき出して、半べそをかくような苦悩表情がパターン化しているし、「回転木馬」や、この野性味溢れる革命犯ウ゛ァレンティンのような役は任でない。期待の金さんは、確かに歌はお上手だけれど、この役はもっとエレガンスで、セクシイな女性に演じてほしいと思ってしまう。
よかったのは、ダンサーの辻本さんと、一番台詞の少ない朝澄さん。しっかり、役の雰囲気で舞台上に存在されていました。
○か×か、結果が両極端な荻田演出は、今回はダメ押しの×。
現実部分と幻想部分の登場人物が、照明も立ち位置も変わらない同じ空間で演じるので、内容を熟知していない観客には理解不能だったのではと思いました。荻田さんには、全編幻想的なダンス系ミュージカルをご専門にして頂きたい気さえしました。
最後の場面のあまりの惨状を目にしたら、アフタートークとおまけの歌を楽しむ気力は失せ、「あー!今村ねずみさんと山口馬木也さんの、あの感動名二人芝居の蜘蛛女がもう一度観たい!」と心で絶叫しつつ、岐路につきました。
2010/02/08 19:37
ラストのダンスシーンを余興…('A`)テクニック的な事はわかりませんがここはそういう目で見るシーンではないと思います。
モリーナが「映画はハッピーエンド」と言っていたので、二人の悲しい現実の終わりに付けたハッピーエンドを、ヴァレンティンが死して尚見ている幻夢。
一見楽しく見えるシーンですが、部屋の隅でモリーナから貰ったマフラー(ストール?)を抱きしめてみんなを見ているヴァレンティンを見たら泣けてきました。
私が観たのは東京での後半なのですが、浦井君の演技も石井さんも素晴らしいもので胸を打たれました。
私にとってはこのキャスティングで良かった。このキャスティング(特に主要キャラクター達)だからこそ琴線にきましたね。